「三十五年」

 女友だちは昨日、「引っ張ってるね〜」と言った。「そりゃそうさ、四十年応援してるんだもの」と答えた。 椹木野衣・編『日本美術全集 第19巻 戦後〜1995』小学館に味戸ケイコさんの絵が収録されたこと。 手紙だけの遣り取りの味戸さんに、1980年の秋、味戸さんの美術館を15年後に作りたいと伝えた。味戸さんは多分、 そのときには本気にはしていなかっただろうと思う。
 1997年6月1日、K美術館を開館。十年間は孤独な日々。2007年、来日し近くに宿泊した中国美術協会の人たち18人が 朝、時間があったのでK美術館へ立ち寄った。その時は小原古邨、川瀬巴水、高橋松亭らの木版画の企画展をしていた。 彼らは感動し、中国の美術雑誌(芸術新潮に似ている)にカラー2ページで称賛。日本人で初の紹介記事だという。 新聞、テレビに記事のコピーと翻訳を送ったが、全く無視された。
 が、私は自信を得た。そして味戸ケイコさんの絵本原画をずらっと展示したときに椹木野衣氏がふっと来訪。 私は東京に行っていて会うことはなかった。椹木氏は『美術手帖』にレビューを2ページにわたって書いた。 味戸さんを現代美術の一人と評価すべき、と。やっと気鋭の美術評論家から評価された。周囲の態度が変わった。 さわさわと追い風が吹いてきた。しかし、運営資金が尽き、2012年末に閉館。できることはやった。悔いはない。
 そして上記、美術全集への収録。味戸さんから聞いてはいたが、実物を手にするまでは実感がなかった。 味戸さんから恵まれた本を手にして、絵を見て、椹木氏の解説を熟読して、実感が湯水のごとく湧いてきた。 いや、噴火かな。実感水蒸気爆発。一人で踏ん張った三十五年、引っ張るにきまってらあ、だ。

《 越沼さんの次にジャンルなど外した深い理解者に出会えたこと、何よりの幸運なことと思っています! 》

 九月四日の味戸さんからのメールを再掲。つまりは、私しか理解者(応援)がいなかった。孤独な二人だった。 そこに現在望みうる最強の理解者が現れたのだ。感慨は一入だわ。

 ネットの見聞。

《 海老名市立図書館、選書やり直しへ 武雄市図書館問題が「飛び火」 》
 http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/18/ebinashi-library_n_8157396.html

《 無理矢理、違憲承知の上で強行可決しておいて、「今後も国民に粘り強く説明していく」って、あんた、 そりゃ説明じゃなくて押しつけに過ぎないんじゃないですか。 》 豊崎由美@ガタスタ屋ですが、それが何か?
 https://twitter.com/toyozakishatyou

《 安保法案の強行採決新潟県弁護士会の会長コメントに法曹界どよめく 》
 http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/19/security-bills-niigata_n_8162424.html

《 安保関連法案成立までの流れを見ていて、じつは日本はまだアメリカに占領されたままなのではという疑念を持った 。少なくとも政府周辺はその認識でいるようだ。アメリカのほうしか見てない。そう考えると沖縄への態度も理解できる。 いっそ州のひとつになれば大統領選への投票権も手に入るのに。 》 太田忠司
 https://twitter.com/tadashi_ohta

 ネットの拾いもの。

《 次の選挙いつや。 》

《 啓発ポスター標語募集キャンペーン 》
 http://www.gamecity.ne.jp/form/s30_campaign01

《 田中啓文さんの『大魔神伝奇』頂戴しました。感謝です。あとがきによれば、 約15年の歳月をかけた《不憫+不憫=大傑作》です。 》 井上夢人

 《不倫+不倫=大傑作》と誤読。