題名に惹かれて昨日の『静かな哄笑』収録の「モンパルナスの娼婦」を読んだ。日本のデパートの絵画買い付け係が パリへ行き、二か月前に割腹自殺をした住村画伯が若き日にモンパルナスで描いた絵を所有する画商と売買交渉をする。 住村画伯は藤田嗣治、佐伯祐三を参考にしている。画商シャルルの言葉。
《 ただ、彼の絵を本当に愛する者に保管してもらおうと思うだけです。住村の絵を売るときには一つだけ条件があります。 それは美術館とか、公共の目に触れるところには売らないで欲しいということです。住村は天才です。天才の絵は、その価値を 認めた者が、それだけのお金を払って独占するものなのです。 》
裏のある発言だが、それは措いて。個人の独占はいかんが、公立(地方自治体)の美術館も信用できん。解説から。
《 この男が夢のような奇妙な娼婦に出会う、「モンパルナスの娼婦」なんか、本当のことのような迫力がある。 》
昨日の「塩の羊」も「モンパルナスの娼婦」も、じつに見事な性描写。ふと我が身を振り返る……。「モンパルナスの娼婦」は 絵画をテーマにしたアンソロジーにはまず選ばれるだろう。
昨日行った「美人歳時記 文藝倶楽部口絵集」展から思い出し、『 Woodblock Kuchi-e Prints (『木版口絵』)』 Helen Merrit & Nanako Yamada(山田奈々子) ホノルル大学出版局2000年刊の歴史部分を、15年ほど前に私が翻訳して A4版20枚にコピーしたものを取り出す。興味ある人に配った。懐かしい。朝6部コピー、1部を Pam へ届ける。
ネット、いろいろ。
《 以下の文章は、「現代詩手帖」二月号の大岡信特集のために書いたものを、現時点で若干加筆訂正したものである。 》 松本圭二/詩人の生きる道
http://www.juryoku.org/matsumoto2.html
「学級委員長から葬儀委員長になったみたいだ。」にひどく惹かれた。大岡信は理解魔と呼ばれる。その批評の明晰な分析から 滑り落ちるモノを感じてならない。理知の人だが、理知を超えた=超脱するものには理解が届かない気がしてならない。
《 ニューズウィーク日本版の連載『現代アートのプレイヤーたち』が更新されました。今回の題名は「絵画と写真の危機」。 ヴォルフガング・ティルマンスとリー・キットの個展を例に、現代が「インスタレーションの時代」であることについて論じています。 》 小崎哲哉
https://twitter.com/ozakitetsuya/status/876657609444442116
《 80年代はインスタレーション、90年代は絵画が復活して写真が隆盛、今度はインスタレーションや映像や舞台芸術へ。 相変わらずの「アート進化論」に見える。この間、豊田市美でやっていた『抽象の力』は「アート進化論」じゃなかったので良かった。 見えなかったところに、新しい線を引いていた。 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/876701017009602560
《 「つぎつぎとなりゆくいきほひ」に根底的な信頼を(意識的・無意識的に)置いている人(おそらく、現状追認と、 生活保守的な傾向が出てくる)と、正義なり理想なりの観念的で超越的なものに価値を置いている人の齟齬というのは、 表面的な政治思想の対立よりも根深くて、すれ違う原因なんだろうなぁ。 》 藤田直哉
https://twitter.com/naoya_fujita/status/876679744619597824
《 韓国大統領がとうとう脱原発宣言。これで台湾と韓国が脱原発。原発事故を起こしたはずの日本の異様な姿が露わになってきている。 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/876795040424525824
《 安倍晋三は、「議会制民主主義」とか「立憲主義」とか「法治主義」を「岩盤規制」と呼んでるんではないか? 》 菅野完
https://twitter.com/noiehoie/status/877023969181745154
《 どっかのアイドルが結婚してファンが怒ってるらしいけど、好きなアイドルがアラフォーなっても結婚せず ざるそばかついでる身にもなれよ。 》 あすら・てすたろっさ
https://twitter.com/suidreamer/status/876340136459423744