「ポール・ヴァレリーにおける〈精神〉の意味」

 ポール・ヴァレリー『精神の危機』岩波文庫2010年初版の訳者恒川邦夫の解説「ポール・ヴァレリーにおける〈精神〉の意味」は、三十五頁の力作。

《 精神(エスプリ)とは作業である。それは運動状態でしか存在しない。 (一八九六) 》 486頁

《 重大な問題は思想の歩みが確かに漸近的だといえるかどうかではないだろうか?人は現在起こっていることと無関係な観念を突然抱くことがある。しかし、 それが何かの感覚によって呼び起こされたのではないといえるか? (一八九七〜九九)》 487頁

《 私が相(phase)と呼ぶのは──個人をn個の自立した機能(ないしは循環領域)で成り立つものとして表象することが可能な一定の期間のことでである。  (一九○ニ) 》 448-489頁

 相(phase)。そうか。

《 以上の断章は二十二歳から三十歳までに書かれたものであるが、重要なことはすべてそこに含まれていると考えてよい。 》 489頁

 大岡信の著作を連想。

《 問題は自分が(作ることの)できることは、[もうすんだこととして]斥けることだが、それにはまずできる力を身に付け、できることが証明されなければ ならない。 (一九三四) 》 494頁

 北一明の焼きもの創作活動を連想。

《 この断章を書いたときのヴァレリーはすでに還暦を二つ、三つ過ぎた年齢である。(中略)解決してしまった問題はもはや〈精神〉の運動を要請しない、 ある意味で用済みである。そうしてみれば、世にいう〈作品〉とはことごとく思索の残骸、〈未完の営為〉の痕跡でしかないだろう。 》 494頁

《 本書に集めた評論のキーワードとしての〈精神〉は、しかし、以上に述べたような基層の〈精神〉とは違うものである。一言でいえば、そうした〈精神〉が 古代から現代まで営々として築いてきたもの、すなわち、〈文明〉に関わるところの精神である。 》 495頁

《 今次の戦争で何が破壊されたかといえば、予測可能だという思い上がりです。歴史的知識ならいくらでもあるはずだが、どうであろう? (『現代世界の考察』 所収、一九ニ八年) 》 514頁

《 本書はポール・ヴァレリーの評論の中から、〈精神〉をキーワードに、代表作を選んで一巻にまとめたものである。 》 483頁

 本書の隣に清水徹ヴァレリー──知性と感性の相克』岩波新書2010年初版。

《 この輝かしい時代に主要著作を発表したひとりであるポール・ヴァレリーを、この本ではとりあげた。その大きな理由は、なによりもまず、《知性のひと》 と見られていたヴァレリーの像をくつがえしたいと思ったからである。 》 2頁

 前者恒川邦夫の解説の日付は「ニ○一○年三月」。後者清水徹のあとがきの日付は「ニ○一○年一月二十日」。

 昨日洗剤を買いに行った大型店を周遊すると、A4版が楽に収納できる大きさの黒地のメッセンジャーバッグに遭遇。マチも十三センチで十分。本体価格千円弱。 そばの鏡に映してみる。買い〜。昨夜はそれまでの小型のバッグから中身を移すことに専念。きょうはこのバッグを肩に掛けて外出。
 そういえばクリスマス・イヴか。昨夜は飲んべえで賑やかだったけど、街は平常、静か。スーパーの食品売り場には鳥の唐揚げなどがどっさり……ワシは買わん。 明日は30%引きか半額か。

 ネット、いろいろ。

《 熊本に帰ることを帰熊と表現するのはよく見るんだが、やはりこれって全県同じなんだろうか?帰鹿とか帰静とか帰和とかいうのか?などと考えてたら、 学生から山梨に帰ることは梨バックと呼ぶと教えられた。梨バック!それは老若男女言うの?この言い方広まったら熊バックとか鹿バックとかありなの? 》  東京女子大学日本文学専攻
 https://twitter.com/twcu_nichibun/status/943622176921370624

《 で、また横に広く繋がっていく時代に来ており、哲学と人類学、アート、建築、ポリティクス、テクノロジーなどが構造主義の時代以降一種の創発現象みたいに 共振してきつつあるのが今世紀だねという話をしていた。マニグリエなんかもそういう論文を書いている。 》 清水高志
 https://twitter.com/omnivalence/status/944595015342350336

《 たくさん売れるのはありがたいが、本当に100円本しか売れてない…。 》 古書現世
 https://twitter.com/wamezo/status/944430217707188224

《  農研は国の予算だけで、毎年2千億が投じられ既に遺伝子組み換えのコメの種子WRKY45等が試験栽培されています。
  その蓄積された知見が全てモンサント等に提供されることになります。既に9月から研究職員が民間に出向しています。 》 山田正彦
 https://ameblo.jp/yamada-masahiko/entry-12332004567.html

《 長州出身の総理大臣が明治維新150年を祝おうとしているその頃、会津では「次やる時は絶対勝ってやるからな」という意思満々の戊辰戦争150年記念イベントを 企画しているのであった 》 Simon_Sin
 https://twitter.com/Simon_Sin/status/944499289425768448

《 来年の大河は「西郷のジェダイ」か。面白そう。 》 いかふえ
 https://twitter.com/ikafue/status/944511141287403521

《  週刊誌にしてもビジネス系のメディアにしても「年金が危ない」「日本の産業の凋落」「終わりの始まり」「サラリーマンの末路」と 不安を煽るようなタイトルしかない。
  「来年もぼんやりしてて大丈夫!」みたいなメディアはないものだろうか。 》 林 雄司
 https://twitter.com/yaginome/status/944197102271209472

《 うぬぼれジャパン 》

《 発展終焉国 》