『脱近代宣言』四

 清水高志・落合陽一・上妻世海『脱近代宣言』水声社2018年初版、「第2章 近代の終焉」を読んだ。第1章同様、書かれた文書とちがって鼎談なので、 論旨がわかりやすく、じつに面白い。面白さてんこ盛り。

《 清水 今日から見て、ニ○世紀の限界が何だったかというと、「一の多」です、「差異です」、「生成です」とか言って、議論がホーリズム的になってしまった。  》 114頁

《  上妻 近代では無意識の中ではもちろん共進化しているんだけれども、意識の上では僕たちが主で、あっちは従なんだっていう風に思えたわけなんですね。しかし、 現代では主従が入れ替わりながら関係は水平になっている。それはどういうことかっていうと、意識の上でも、われわれは機械と人間と動物が、同一の水準にあることを 受け容れなきゃいけないってことになるわけですよ。で、その時に何が問題かっていうと、それを受け容れることができない人がたくさん生じるわけです。(中略) これまでは無意識によって時代が変わってきた。でもこれからは、意識の領域における枠組みの変化が情報社会において重要になってくる……。
  清水 それを意識させるものとして、やっぱりメディア・アートがある……。 》 128-129頁

《  上妻 細かくしていけば、原子や中性子クォークという水準まで分解して認識されるわけですけど、グレアム・ハーマンが下方解体と呼ぶようにそれでは 物質の本質を捉えられない。他方で対象の性質や出来事を本質として捉えるのも無理がある。
  清水 その下方解体と、上方解体の、ズレが物の脱去(withdrawal)。
  上妻 その「脱去」は何なのかというと、ある種のブラックボックスになっている気もする。「脱去」って言葉である種逃げているんですよ。
  清水 それを、逃げているという風には僕は必ずしも思わないけどな。 》 166-167頁

《 落合 つまり、ハードウェアそのものをホログラフィでどのようにして空間に作るのか、というのがキーワードなんです。 》 170頁

《  落合 その発想からすれば全体が全体を引き算して点を生みだして、点と点を足し算して全体を生みだすような方法というのは、数式の上では可能なんです。 自然言語の世界ではたぶん不可能なんです。
  清水 ホーリズム的じゃない全体っていうものがあるとしたら、おそらくそういうものだよな。 》 174頁

《 落合 自然言語は限界がある。テクノロジーじゃないと無理かもしれない。言葉には表せない概念みたいなものがあると思います。 》 175頁

《 落合 あと一億年ぐらいしたら、インターネットに同一化した電子・電気・波動的生物になって、意味のある主体はもはやないかもしれない。 》 180頁

 さて夕飯、という時に電話。来月初頭のイベント会場の不備が発覚。急きょキャンセル、次善の策の会場を押さえる。案内状の印刷を中止〜延期。ふう。冷や汗。 二週間遅れるが、延期しても問題はない。やれやれ。悪い予感がして次善の策を考えていたが、正解だった。

 ネット、いろいろ。

《  「生き物のいのちを描く〜知られざる絵師 小原古邨〜」日曜美術館
  5年前にある倉庫から偶然出てきた数百枚の木版画。明治生まれの絵師・小原古邨の作品だ。日本では無名だが、海外で人気を誇った。 日本画のような写実表現と技に迫る。 》 NHK
 http://www4.nhk.or.jp/nichibi/

《 東博の「マルセル・デュシャンと日本美術」みた。・・「遺作」も「大ガラス」もなかったので「充実したワキ役」による展覧会、という感じか。 あと、日本美術と比較されてたが、そもそも、デュシャンは全ての芸術を包摂しているので、ルネサンスでも古代ローマでもポップでも、何とも組み合わせられる。 》  布施英利
 https://twitter.com/fusehideto/status/1047340093789286400

《 「デュシャンは全ての芸術を包摂しているので何とでも組み合わせられる」 本気で言ってますかそれ。大丈夫ですか。 》 黒瀬陽平
 https://twitter.com/kaichoo/status/1048235858682236928

《 企画担当者とおぼしき松嶋雅人氏という人は、デュシャンについても日本美術についても、論文を書くに値する知識を持ち合わせているようには思えないのだが、 いったいどうしたことだろうか。山下裕二的な方なのだろうか。 》 黒瀬陽平
 https://twitter.com/kaichoo/status/1048145805452832769

《 さっき黒瀬陽平さんのツイートをRTしたけど、東博デュシャンと日本美術の展覧会、キュレーターが無知とかそういう問題ではなく、むしろ恥知らずにも 「専門家がどうのこうの言おうが、大衆を騙せればまあいいや」的な、単に恥知らずなだけなのではないかと思うな。美術史のポストトゥルースだ。 》 土屋誠一
 https://twitter.com/seiichitsuchiya/status/1048163364692611074

《 まあ要するに、山下裕二的な態度ということですね(あの人は知識がないわけではないので) 》 黒瀬陽平
 https://twitter.com/kaichoo/status/1048165542438137856

《  ある意味正直。安倍政権にとって公文書改ざんも職員の命を奪ったことも一身に背負ってくれた佐川氏は 「極めて有能なキャリア官僚」=「内閣人事局が生み出した理想の下僕」ですね。
  ↓
  麻生財務相、改ざん問題の佐川氏は「極めて有能だった」 》 井上伸@雑誌KOKKO
 https://twitter.com/inoueshin0/status/1048070419561963526

《  満州事変以降の15年間でやった失敗の量よりももっと多い失敗を、平成の30年でやってるような気がする。

  引き戻すのなら今だ。 》 菅野完事務所
 https://twitter.com/officeSugano/status/1048374208525467648

《 【生活】離婚の原因、第1位は結婚であることが明らかに 》 九州新報
 https://twitter.com/kyushushinpou/status/1048193990284140544

《 オリンピック≒税金を掠めとるイベント 》

《 信用って消耗品なんだね 》