『社会的なものを組み直す』四(閑人亭日録)

 ブリュノ・ラトゥール『社会的なものを組み直す  アクターネットワーク理論入門』法政大学出版局2019年初版、「第 I 部 第三の不確実性の発生源──モノにも エージェンシーがある」を読んだ。

《 ここでも、原因と結果を混同したくないし、説明する側と説明される側とを混同したくない。したがって、とりわけ重要になるのが、こう主張することである。権力は、 社会と同じく、あるプロセスの最終結果なのであって、おのずから説明をもたらしてくれる貯水池、備蓄庫、資本なのではない。権力や支配は、生み出され、作り上げられ、 組み立てられなければならないものだ。非対称的なものが存在するのはそのとおりだが、では、それはどこから来ており、どんなもので作られているのか。 》 120頁

《 「社会的』という語によって、対面的関係というありふれた事象を指し示すのは、まったくもって理に適っている。しかし、他方で、「社会的』な力については、 同語反復(トートロジー)、巧みなごまかし、呪文以外に、何の根拠も生み出せていない。 》 123頁

《 社会的な力という概念を解体して、束の間の相互作用ないし新たな連関で置き換えることには、大きな利点がある。それは、社会という合成概念のなかで、その持続性に 関わるものと、その実質に関わるものとが区別できるようになるということだ。 》 124頁

《 ANTの解法は、社会的なものの社会学者との論戦に加わるためにあるのではなく、そうした社会学者が陥っているかもしれない矛盾を素早く見つけだす機会を増やす ためにあるのであって、それ以上でもそれ以下でもない。 》 128頁

《 モノが何の役割も演じる機会がなかった理由は、社会学者が用いる社会的なものの定義にあるだけでなく、社会学者がほとんどの場合に選択しているアクターと エージェンシーの定義そのものにもある。 》 134頁

《 もしろ、モノがアクターであるということが意味しているのは、完全な原因として存在していることとまったく存在していないこととのあいだに、数々の形而上学的な 陰影が存在するであろうということである。 》 135頁

《 ANTは、モノが人間のアクターに「代わって」あれこれしていると主張する机上の空論ではない。 》 136頁

《 もちろん、ここでの集合的という語は、均質な社会的な力によって持ち込まれる行為を意味するのではなく、逆に、相異なるためにひとつに紡ぎ合わせられる種々の力を 集める行為を意味するものである。 》 141頁

《 ANTは、常識に反した何かしらの「人間と非人間の対称性」を打ち立てるものではない。 》 144頁

《 非人間を正規の(ボウナ・ファイド)社会的な紐帯のリストに加え始めるやいなや、間違いなく、この連続性と非連続性を行き来する動きによって、社会的な結びつきを たどることはとりわけ精巧さを要するものになる。 》 146頁

《 モノはまさに人間と結びつくという性質ゆえに、媒介子の地位から中間項の地位へとたちまち変転し、どんなに中身が複合的でああろうとも、一かゼロのどちらかでしか なくなる。 》 150頁

《 どの解法が選ばれているにせよ、ANTの研究者によるフィールドワークが示してきたのは、モノが調査されていないのであれば、それは、データがないからではなく、 むしろ意思が欠けているからであるということだ。 》 154頁

《 社会的な結合が、非社会的なモノを織り込みながら進むときでも、その結合に目を向けることは、理論とは無関係の理由のために難しいかもしれない。 》 156頁

《 当然、こうしたかたちで集合体にモノを参入させることはどれも間違っていないが、しかし、こうしたやり方は、集合体を作り上げる紐帯の束を粗くパッケージ化して いるにすぎない。いずれのやり方も、人間と非人間の数々の絡み合いを記述するには不十分だ。 》 159頁

 ざっと抜き書き。昨日の引用、113頁、118頁の「連環」は「連関」ではないかと思うが、本の「連環」に従った。

 ネット、うろうろ。

《 「私は死んだのですか」運転手に聞いたタクシー客 震災と幽霊の深い関係 》 Globe+
https://news.yahoo.co.jp/articles/c395bccb2ba5dea2376e20bd8f883951645d788a?page=1

《 ニューヨーク州議会議事堂前でひとりで45分間の抗議行動をしたトランプ支持者。数千人のトランプ支持者が来ると思っていたのに…自分ひとりしかいなかった。
  という画像。 》 mold
https://twitter.com/lautream/status/1351947384910082048

《 今、日本の政治的言語のグダグダの世俗化はひどいと思うけど、だからと言って、西洋的なニュアンスでの「偉大なもの」を求めるのは違うと思う。 そうじゃない、「凜とした世俗性」を求めるべきなのだ。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1352058539699683328

《 「政府の対策は十分か」と尋ねられるとむっとした表情を浮かべ、「それじゃあ他の政党が何ができますか。他の政治家が何ができますか。 いま全力を尽くしてやってるんじゃないですか。いちいちそんなケチつけるもんじゃないですよ」。

  つける薬がない。 》 石川康
https://twitter.com/walumono0328/status/1352033151422369794

《 昨年、保健所の職場に大量の「アベノマスクの不良品」が持ち込まれたのは御存知だろうか。虫の混入や汚れがないかどうかを保健所が「検品」させられていた。 コロナ対応で疲弊するさなかで、国のデタラメの尻拭いをさせられていることに怒りを感じた。保健所の現場を知らない国が余計な仕事を増やす。 》 保坂展人
https://twitter.com/hosakanobuto/status/1352042238994313216

《 知らなかったとは言わせません。
  この「PCRの感度は70%」のデマを意図的に放置した旧専門家会議、脇田氏、尾身氏の責任は重大であると考えます。 》 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1351922298295488513

《 別に「プペルを叩くな」とか「プペルを見ろ」と言っているのではない。批判をあらかじめ組み込んで相当によく考え抜かれた、厄介なビジネスモデルであって、 下手をすれば批判そのものが「ネットの誹謗中傷、足を引っ張る日本社会」という文脈で、いじめられながらもがんばり、そして結果を出した西野亮廣への同情票として 還元されるような、巧妙なシステムとして考え抜かれているという話をしているのである。こう言っちゃなんだが、その点について西野亮廣という人物は、 たとえば岡田斗司夫氏より数段頭がいいビジネスをしている。それはもちろん吉本興業の中にいるかもしれないブレーンも含めての話なのだが。 》 CDBの七紙草子
https://note.com/774notes/n/nb01df8e80008

《 パソナが淡路島なら電通佐渡島あたりに行けばバランスがいいのではないか 》 正しさ
https://twitter.com/verygoodreality/status/1351815792585629699

《 【トーキングブルース英語字幕版】歌舞伎町の薬剤師(薬局ドリンク売り)~ 》 古舘伊知郎
https://www.youtube.com/watch?v=Dda6CiylrJk&feature=youtu.be