ざあざあ雨

 雨の降りが激しいけど、風が無いのでざあざあ雨の中徒歩で来る。十五分待てばバスが来るけど待てない。ビショビショ濡れて美術館到着。バスはまだ来なかった。乾燥した事務室に入ると、足元がビッショリ、ひゃあ、気持ちワリイ。…… そんな雨も昼前には止む。もっと降ってくれよ。

 この前にも書いたが、梅原猛「百人一語」朝日新聞社1993年には深い批評眼を感じる文章が見られ、感心する。例えば葛飾北斎について。

「彼が真の意味で自己の芸術を創造したのは、彼が七十三歳の時出版した版画『富嶽三十六景』においてであろう。」

 北斎は「百歳にして、神品を、百十歳にして、一点一格生けるが如き絵を描こうと思う」と、七十五歳の時に記していた。

「彼はあの絶品『富嶽三十六景』にも満足しなかったのである。その後も彼は自己逃亡・自己変革を続け、最後は江戸を捨て、信州に住み、版画家・浮世絵師であることまで否定し、極彩色の花鳥画や人物画を残したのである。」

 ここで文が止まれば、普通の美術史家だ。それに続けて梅原は以下の文章で締める。

「しかし、その作品があの『富嶽三十六景』以上の作品であるかどうかは疑わしい。そして彼は百十歳まで生きられず、九十歳で死んだ。とすれば、この言葉は自己逃亡の者の哀しき自己誤認の言葉であったことになる。」

 ブログDAILY-SUMUSで「これから同人雑誌は同人サイトに変ってゆくのだろうか」と語られている。ありうることだ。