雨が降って寒い

 小雨だけど、バスに乗る。女性の運転手。カッコいい。得した気分。オジイだなあ。

 山中智恵子歌集『青章』国文社1978年を読んだ。これは本屋で冒頭の一首に心射抜かれ、その場で購入。その一首。

《 星空のはてより木の葉降りしきり夢にも人の立ちつくすかな 》

《 生誕の日は木犀のかをりたり乱世の星と誰か歌へる 》

《 なべて乏(とも)しき時間に在れば相聞と思想のはざま歌還るべし 》

《 人の世のあそびのごとき雲流れ夜のもみじのはるかなりしか 》

《 あはれこの冷えゆく星の一地点日没は石榴もつとも愛(かな)し 》

《 つれづれと草に思へば道は虚にあつまるごとくわかれゆくかな 》

《 怒涛なす明晰の死よ見返れば一行の詩に世界凍らむ 》

《 凧凩(いかのぼりこがらし)風と記しゆき天なるもののかたちさびしき 》