昨日の雨で畠には草が一斉に芽吹いている。
多田智満子歌集『水烟』コーベブックス1975年を読んだ。私の掬すべき短歌は……無し。馬場あき子歌集『雪鬼華麗』牧羊社1979年を読んだ。私の掬すべき短歌は……無し。紀野恵歌集『水晶宮綺譚』砂子屋書房1989を読んだ。私の掬すべき短歌は……無し。三人ともそれなりに名の通ったもの書きだが。
河野愛子歌集『黒羅』不識書院1983年を読んだ。千葉市の人。
《 夏の鏡けふくきやかに身に浮ける鎖骨二本を目にしまひけり 》
《 たましひに似る雲ひとつ飛ぶが見ゆ藍の深きにとどまるとせず 》
《 開けてゐる口に降りゐる春のあめ猫の死顔は白くみのりぬ 》
《 降る花の光の渦に濯ぎてはいろある身をぞかなしまむとす 》
以下の歌には北一明氏を連想。
《 工芸は体制の内と淋しみて盃重ねゐし一人をぞ思ふ 》
以下の歌は先週のK美術館を連想させる。
《 ゆふぐれて人の出入りのなくなりし画廊をひとり歩みてゐたり 》