「ガラパゴス的進化(変化)」

 昨日の「紙わざ大賞26」展は、じつに楽しかった。レース切り絵から立体切り絵、緻密な折り紙からアイデア一本の 紙の造形。まさしく多紙済々、多種多彩の中で紙の楽器を作ったのは、白砂勝敏さんだけだった。また見に行きたい。

 近現代美術家は未来の表現を希求し、それに賭けていた。それは既成の様式の桎梏からの解放という意味合いがあった。 それは怒涛の青春ともいえる。死屍累々の中からごく僅かな作品が生き残った。それら傑作とみなされた作品さえ世紀の 変わった二十一世紀からすれば、美の残骸かもしれない。美の概念も芸術の概念も基準も、時代の変遷に従って変ってゆく。 自己主張に満ち満ちた、様式とは別の窮屈な作品群。賞味・消費期限切れの作品たち。純金のメッキは剥がれ、純金だけが 変わらずに輝く。浮かんでいた石は沈み、沈んでいた木は浮かぶ。I LOVE YOU から、私は惚れた、へ。
 美を美として正当に認識、評価するには相当の能力が求められる。私がこれが美=芸術作品か? と疑問を抱いた作品が 後年確かに芸術作品だ、と気づいた例はいくつもある。自身の未熟を知った。また、なにか凄いな、と感じた作品が、後日 その凄い理由を理解したことも多々あった。私は作者の主張や伝記的事実には関心が薄い。作品そのものを鑑賞する。 去年の秋のクラナーハには震撼した。伝記的事実は、今もほとんど知らない。作品だけで十分。他に何が要るか。
 昨日「前進するのではなく、後退りすることで開かれてくる世界。」と記したが、正確には未知の未来へ向いて進む のではなく、過去に向き合いながら未来へ後ずさりする。
 ふと浮かんだ。日本美術は独自のガラパゴス的進化(変化)をしているのかもしれない。これは再考が必要だ。

 エキセントリックな気分をなだめようと、自転車でブックオフ函南店までゆっくり走る。国道の凹凸のある自転車兼用歩道 よりも去年できた田圃中の農道のほうが、平らだし、信号機はないし、見晴らしはいいし、気分が晴れる。で、文庫を三冊。 道尾秀介『ノエル』新潮文庫2015年初版、ピエール・メートル『死のドレスを花婿に』文春文庫2016年5刷、 同『悲しみのイレーヌ』同2015年初版、計324円。

 ネットの見聞。

《 『エラリー・クイーン 推理の芸術』の序でフランシス・ネヴィンズは「自分が生きている間に、クイーンの名前が (日本を除いて)完全に忘れ去られる日が来るとは、信じることができなかった」と書いていますが、 わが国のミステリファンほど、この作家を愛し、精読し、論じてきた読者はいないでしょう。 》 藤原編集室
 https://twitter.com/fujiwara_ed/status/826949196645330944

 日本=ガラパゴスの一例がここにも。嬉しい一例だ。

《 米ホロコースト記念博物館にある「ファシズムの初期段階における危険な兆候」
  ・強く継続的な国家主義
  ・人権軽視
  ・国民を統一するための敵国認識
  ・セクシズムの蔓延
  ・メディア統制
  ・国家安全保障への執着
  ・知性と美術の軽視
  ・政教一致
  アメリカだけじゃなく、日本にも当てはまります。 》 宮島 謙二
 https://twitter.com/Absolute_Ken/status/826280390323269634

 ネットの拾いもの。

《 ちょっくら三越に行ってくるが、目的はパンであって、買うのはパンだけであって、決して最終クリアランスセール中の ファッションフロアには立ち寄らないことをここに誓います。 》 大矢博子
 https://twitter.com/ohyeah1101/status/826644830168064001

《 クリアランスを耐え切って帰宅。コツは「脱ぎ着にしくくダサいワンピ」を着ていくこと。 試着しようにもコートを脱ぐとダサいし、トップスかボトムを合わせようにもワンピだと全部脱ぐからコーデの仕様がないのだ。 試着しにくい、というのは買い物の魔力から逃れるいい方法よ。 》 大矢博子
 https://twitter.com/ohyeah1101/status/826664295115091968

《 男性は 理性で好きになって感情で嫌いになるそうです
  だから嫌いな理由はうまく説明できないけど
  好きな理由を言わせたら語りまくるのだそうです
  女性は 感情で好きになって理性で嫌いになるそうです
  だから好きな理由はうまく説明できないけど
  嫌いな理由を言わせたら喋りまくるのだそうです 》 一目置かれる雑学
 https://twitter.com/trivia_hour/status/826629572657500167