『スピノザ』五(閑人亭日録)

 國分功一郎スピノザ──読む人の肖像』岩波新書2022年10月20日第1刷発行、「第5章 契約の新しい概念」を読んだ。

《 一六六五年、スピノザは『エチカ』の執筆を一時中断し、『神学・政治論』の執筆に取り組み始めるのである。 》 224頁

《 スピノザにとって迷信は端的に否定の対象である。そこには見るべきものはない。それに対し、歴史物語は否定の対象ではない。それは読解の対象である。この点で再び、読む人としての哲学者スピノザの本領が発揮されることになる。スピノザは語りの中に矛盾を見出すや、それを手がかりにしてすぐさま解釈を提示してみせるのだった。先に軽く触れた預言や奇跡の解釈もすべて歴史物語の解釈という形で遂行される。先に見た聖書読解の三原則を通じてスピノザが行っているのはそのような解釈である。そして重要なのは、デカルト読解の時と同様、スピノザが単に矛盾を突いているだけではないということである。 》 238-239頁

《 だとしても、政治秩序には制度と計算には決して還元できない何らかの価値の共有が必要ではないか──これこそは、おそらく、『神学・政治論』という書物が今日もなお我々に投げかけている大きな問いなのである。 》 263頁

《 スピノザが契約の語で名指しているのは、一つの国家を規定してきた諸要因の歴史そのものである。だからわれわれはその国の平和のためにその国の契約を研究しなければならない。ここにはホッブズが語ったような抽象的な社会契約論は存在しない。スピノザの考える契約は、歴史の中で具体的なものを思考するために必要な概念に他ならない。 》 267頁

《 なぜ思想の統制を行ってはならないか。それが権力の自由にできる手段のキャパシティを超えた目論見だからである。 》 268頁

《 個人の意志を前提とするホッブズやルソーとは異なり、スピノザはあくまでも人間の本質を欲望に見ている。 》 269頁

《 契約はこのような円環構造を生み出す。これは人間の法でも神の法でも変わらない。法的な意志はしたがって、自然状態においても想定できるようなものではない。それは契約によって、その効果として生み出される意識の一様態であると考えなければならない。 》 270-271頁

《 意志は広義の法を前提としている。それは、本章が論じてきた契約によってもたらされる効果と考えねばならない。 》 273頁

 じつに刺激的な論述だ。

 外装がを気に入って長年愛用の普通のボールペンで年賀状の宛名書きをしていたら、インク切れ。もう一本もわずか。自転車で買いものついでにホームセンターへ寄り、替芯を二本購入。帰宅してはめてみる。ピッタリ。やれやれ。年賀状は61枚。半減。

 ネット、うろうろ。

《 「季節性インフル同等とならず」 新型コロナで専門家組織が見解 》 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219914

《 過去の戦費調達と無謀な戦争の結末は…防衛増税しても大丈夫なのか 政府与党の「詐欺のテクニック」 》 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219740

《 「子育て支援の1000億円の財源が決まらず」とのことだが、100兆円を超える国家予算に対して、1000億円はわずか0.1%。500万円の世帯収入の家庭に例えると、5000円を出せるかどうか。子どものための5000円すら用意できないって、本当に子どものことを考えているのだろうか・・・ 》 明石市長 泉 房穂(いずみ ふさほ)
https://twitter.com/izumi_akashi/status/1603044183471980545

《 除染土再利用も「閣議決定頼み」でなし崩しに猛進…特措法で想定されず、国会での議論もなし 》 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219945

《 まだ意味のない世界の方へ/森田 真生 》 EKRITS
https://ekrits.jp/2021/08/4654/