誤差と非連続性

 自宅前の車の往来が多くなる。ああ起きる時間かなあ、まだ寝ていたいなあ。ぐずぐずしていると無情な目覚まし。今朝は戦闘中の港を舞台に両雄対決〜相打ちという夢をみた。間に残された可愛い男子。そのまま映画にしたい夢だった。映画化できない小説というと歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」がまず挙がるが、哲学・思想書は無理だろう。

 武田青嗣(せいじ)「現代思想の冒険」ちくま学芸文庫を再読した。以前読んだときはすっきり読み進めたのに、今回はつっかえつっかえだった。でも、じつに刺激的だった。簡潔かつ深くて鋭い。引用すると本意から外れてしまいそうだけど。
「むしろ、わたしたちが現在、マルクス主義的な世界観に疑念や異議を提出できるのは、現代社会では、おおくのひとびとの生き難さの核が、欲望が他人との誤差の中だけをめぐり、そのことによってどんな欲望の可能性もただ日常性のうちを円環するしかないという現実感を持つという理由からなのである。」227頁

「わたしの考えでは、人間の性的な<エロス>が、本質的に具体的な<他者>との"非連続性" を乗り超え得るという幻想性への欲望にそのモチーフの根を持っていたように、<美>とは、いわば日常世界における生の硬化(=非連続性)を乗り超えて存在し得るという幻想への欲望をモチーフとしている。」238頁

 ブックオフ長泉店で二冊。金井美恵子「愛のような話」中央公論社1984年初版、チャールズ・パリサー「大聖堂の悪霊」早川書房2000年初版帯付、計210円。

 味戸ケイコさんから電話。今夜十一時の日本テレビのニュース番組で松谷みよこ・文/味戸ケイコ・絵「わたしのいもうと」が放送されという。その前のテレビ朝日のニュースでは御殿場・時之栖のイルミネーションが放送される。うわ、ずっとテレビにかじりつきかあ。