「Kの昇天」

 梶井基次郎「Kの昇天」は短い。こんなに短かったか。「Kの昇天」から「ゼロの焦点松本清張へつながるけど、昇天から死の焦点へ関心が移った。数日前、パソコン教室で教えてくれた三十歳そこそこの人が心筋梗塞で亡くなった。妊娠三箇月になる新妻を遺して。この世の無常よ。なことで、手にしたのは井上靖「化石」講談社1967年刊。新刊で購入し読んだ高校生の私。パリの公園でマルセラン夫人に一目惚れした主人公の建設会社の社長は五十五歳、癌を宣告される。私は五十六歳。今だから理解できる心の機微がある……だろう。マルセラン……この調べが四十年近く胸にこだましている。静岡新聞には
「作家井上靖氏の『生誕百年祭』が、きょう伊豆市で開幕する。」

 今朝の毎日新聞書評欄で気になったもの。ボリス・アクーニンのミステリアス小説二編、岩波書店の宣伝文には「悪人(アクーニン)」といったオヤジギャグが踊っていたけど。
「『リヴァイアサン号殺人事件』の面白さは尋常ではないはずである。正直なところ、アガサ・クリスティの『オリエント急行殺人事件』が児戯に見えてしまう。」
 富山太佳夫の評だけど、二冊とも「面白さのレベルが違う。」と書かれては気になる。ミステリアスならぬミステリ明日か。オヤジギャグだなあ。

 そんなことを書いているうちに午後三時。きょうはグラウンドワーク三島の研修に来ている早稲田大学の学生の相手を午後四時からするよう頼まれている。でもってきょうは早退。それしてもこの風雨。参ったなあとぼやいていたら雨があがった。やれやれ。