白と黒

 昨晩、ブックオフ三島徳倉店で二冊。山田風太郎「人間臨終図鑑 (I、III )」徳間書店1996年初版帯付、計210円。
 ブックオフ長泉店で二冊。吉川潮「完本・突飛な芸人伝」河出文庫2006年初版、クレア・キップス「小雀物語」小学館ライブラリー1994年初版、計210円。

 スタンダール赤と黒光文社文庫の新訳が誤訳だらけと酷評されている。
、「訳し忘れ、改行の無視、原文にない改行、簡単な名詞の誤りといった、不注意による単純なミスから、単語・成句の意味の誤解、時制の理解不足によるものまで誤訳の種類も多種多様であり、まるで誤訳博覧会」
 この新訳について毎日新聞では素晴らしいと持ち上げていた。その評者の意見を聞きたい。
 この光文社の古典新訳文庫を私は買っていない(評価しない、購入しない)。「赤と黒」ではないが、訳文を見てヒデエと嘆じたから。以前話題にしたのはドストエフスキーカラマーゾフの兄弟」の訳文で、これは別のサイトでゾシマ老僧の言葉に違和感あり、という指摘に同感。旧訳から永い歳月を経て、訳文が今の時代に合わなくなっている、だから新訳、という推奨だが、薄っぺらになった21世紀の言葉で訳そうとすれば、そりゃヒドイものになるだろう。それはなんら革新ではなく、歴史と蓄積の放擲だ。