ゆっくり

 来月11日の白砂勝敏展までは、開館はしているけど休眠状態に。ゆっくりお掃除。最高気温は一月と変わらないのに、なぜか暑く感じて一枚脱いでしまう。日が高くなったせい? んなことはないだろうけど。一休み。ネット周遊。《バレンタイン・チ○コ》。なんちゅうか。井辻朱美歌集『地球追放』沖積舎1982年を読んだ。

《 光りより光りへかへる春の風ねぎ刻む窓をあけはなちたる 》

《 風ふけば輪廻の鎖揺るるごと羊水の中の青き堕天使 》

《 のぼりつめし転調の階段(きだ)を風くづれ青きさなかに死せる詠唱 》

《 水に沈み水の上吹く風を見よ はるかなる時の襞はゆれつつ 》

《 しづやかに雨の埋(うづ)むる惑星になべての歌はますぐに立ちつつ 》

《 鏡なす水面(みなも)に溶けよ遠近法のまなざし深き秋の肖像 》

《 隕石のいくつ燃えつきこの夜の風に入らむか香料(スパイス)の壜鳴る 》

《 黄昏のレモン明るくころがりてわれを容れざる世界をおもふ 》

《 下水溝に降る雨の音 蝸牛管の迷路の奥なる珈琲店(カフェ)に灯ともり 》

《 すじ雲のかそかに刷ける青天蓋いつかこの街も遺跡とならむ 》

《 空間の透きとほるまで重心をあずけてゆけりわれのKAWASAKI 》

《 きみの肉の修羅を溶かして水となす河をわたれる夜汽車の響きも 》