「かわいい」論再び・まだ続き

 四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書2006年初版再読、昨日の続き。

《 明治以後、急速に西洋的近代化を成し遂げてきた日本にとってもっとも重要なことは、西洋列強の眼にみずからがどのように映るかという問題であった。未開の蛮族と思われないために鹿鳴館が設けられ、西洋音楽が軍隊と教育制度に組み込まれた。同時に日本の文化的独自性を証明するために、前近代から存続している文化のいくつかに焦点が投じられ、それが日本を体現する真性の高級文化として、海外に喧伝されることになった。この文化ナショナリズムの傾向は、第二次大戦で日本が敗北した後、それ以上に顕著になった。だがこうした伝統主義とは近代化以降に、どこまでも他者の眼差しを契機として、歴史的に形成されたものにほかならない。歌舞伎、浮世絵、陶磁器、着物といった具合に、江戸期の庶民にとってはとうてい自覚されていなかった大衆文化が、内面化されたオリエンタリズムを媒介として、純粋にして高級な文化遺産へと、イデオロギー的に作り変えられていったにすぎない。》179-180頁

《 一方、近代化のなかではじめて成立した大衆文化には、こうした純粋化は要請されなかった。新派、洋食、映画、漫画といったジャンルは、欧米文化との接触によって生じたものであり、日本を正統に表象する文化とは長い間見なされてこなかったばかりか、知識人によって言及されることも稀だった。》180頁

《 先に述べた高級文化としての日本は、ごく少数の芸術家や知識人が特権的に鑑賞するものではあっても、大衆的な受容にはほど遠かった。》181頁

《 「かわいさ」に特徴付けられた日本商品を消費するにあたって、世界の全ての地域が同一の「かわいさ」に共鳴しているわけではない。》185頁

 ネットの拾いもの。

《 東電が電気代値上げするから太陽光パネルの元が取れる期間が早くなるな! 》