『虚無回廊 II 』

 小松左京『虚無回廊 II 』徳間文庫1991年初版を読んだ。

《 「こころがけてきたって……つまりあなたたちは、進化を自分の意志で、やっているというんですか? 」
  「それでなければ、一億年も生きてはいられない事は、あんたもわかるじゃろ……」”老人”はさとすように 言った。「たえず、自分という生命システムに対するきびしい自己省察をおこない、改良点をさぐり、新しい、 よりすぐれた、効率の高い仕組みを工夫し、実現をはかる……。ある時には思いきって根本的なシステムの改良を おこなう。そういう努力を、何千万年もつづけてきた……」
  「生きのびるための改良をですか? 」
  「ただ生きのびるためだけだったら、その改良はやがて袋小路にはいってしまうだろう」”老人”はほほえんだように 感じられた。「ある超越的目標にむかっての改良……さっきいったように、宇宙と、その中に生じた意識の意味と目的を 探求する、という目標にそった改良を、私たちは何千万年もつづけてきたのだ……」 》 82頁

《 ──「進化工学」という学問上の概念は、まだ一種の恐れをもって一般社会にうけとられ、その前段階の「遺伝子工学」 ほど積極的に許容されていない。一番の問題は、特に人間を、何のために、どんな目標あるいは目的にむかって進化させれば いいのか、というその方向づけがまだはっきりしない事だった。 》 84頁

《 「それにしても……私たちは、残念ながら、まだ母恒星系の中をうろうろしていた段階で、銀河系内の生命事情は よく知りませんが、それにしても……直径一・ニ光年×長さニ光年、容積わずかニ・ニ六立方光年の円筒形空間の中に、 出自の異なる知的種族がむらがっているという事は、銀河系の平均生命密度から見ても……まして知的存在密度から見たら、 異常に高密度の状態ですね?」
  「たしかに……」と”老人”はうなずいた。 》 101頁

《 「誰がつくったものでもないって……それじゃこの”物体”は……”SS”は、自然にでき上がった、というんですか?」  》102頁

《 私たちは、暗黒の空を見上げた。はるか上方に、かすかにほの明るいしみがあり、その中心に、ぽちんと小さな星が 光っている。直径四百キロの”井戸”の中から、二万数千キロの彼方にある”SS”の表面の開口部を通してみるという事は、 直径一センチ、長さ六十センチの管を通して外を見るようなものだ。
  「あれが太陽だというのはたしかだろう?」と私はきいた。 》 103頁

《 「いったいこれが……誰によって、どんな目的のためにつくられたのか? どうして、こんな奇妙で巨大な構造を持ち、 その構造が維持できるのか? どうちやってこんな巨大なものが、やすやすと何百光年もジャンプするのか……」 》 113頁

《 いまはじめて──この想像を絶するほど巨大な、その構造も、しくみも、存在の意味も、ほとんど理解不可能な”SS”が 発したという「メッセージ」の一節を、きく事ができたのだ。だが、それは、何のために、誰にあてておくられたものなのか?  》 162頁

《 次の指示が書かれてあると思われる文章の中に、「共鳴」を意味するらしい単語が見つかっているので、それが鍵になる のではないか、と思われますが……” 》 165頁

《 「”光の言葉を解するものよ……”か」 166頁

《 この「超円筒」のどこをとっても──それは、星間物質で汚染された外部表面は別ですが、内部のどこでも──鉄族より 重い元素は皆無なのです……。 》 168頁

《 ”すくなくとも、六、七十億年以上昔につくられたもの、ということになります……。 》 171頁

《 ──「深部宇宙」という表現はあるが、この超構造体(スーパー・ストラクチャー)は、「深部過去」からやって来た、 想像を絶する機能をもった、想像を絶する存在なのだ……。 》 171頁

 そして事態は急展開。

 注文した本、加藤周一『日本文化における時間と空間』岩波書店2016年19刷を近くの本で受取る。2007年初刊。 ロングセラーだ。

 ネットの見聞。

《 「水銀 コバルト カドミウム♪」と唄ったら、「鉛 マンガン オキシダン♪」と 返してくれるひとの環境論は信用できるような気がする。 》 赤城毅/大木毅
 https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/828976767104790528

《 お願いですから三浦綾子氏と曽野綾子氏を間違えないでください。「沈黙」という言葉を聞いて、 スコセッシとセガールとを間違えるぐらい大変な誤解をしています。 》 じんけし
 https://twitter.com/jinkeshi/status/828045505779208192

 ネットの拾いもの。

《 第4回『ガンジーでも助走つけて殴るレベル』を上回る神フレーズ選手権の結果発表

  最優秀賞
  『もったいないおばけが「それはゴミ」っていうレベル』

  金賞
  『相田みつをが「にんげんじゃねえ!」と書き殴るレベル』

  高齢の住職賞
  『滝川クリステルが「お・も・て・で・ろ!」と言うレベル』 》 坊主
 https://twitter.com/bozu_108/status/828118569044946944

《 安倍が嘘をつかなかった例を挙げよ 》