『虚無回廊 I 』

 小松左京『虚無回廊 I 』徳間文庫1991年初版を読んだ。序章の前に数ページの前段。その冒頭ニ行。

《 さっき、”私”が死んだ。──ニ、三分前の事だ。正確にいえば、五年と八カ月二十六日十四時間余り前の事になる。  》

 そして”SS”という言葉。それがなんなのか、読み進めれば明らかになるが、途中まで読みすすめ、最初の数ページを 再読して、どういうことだったのかが理解できる。ややこしい構成だ。SFだから、か。そういえば「ロシア」が出て来る。 ソ連ではない。先見の明というか。元本は1987年の刊行。コンピュータ用語などがわんさと出て来るが、古臭くない。

《 その基本的アイデアは、彼の音楽的天才が発揮されていた。──彼は、遺伝情報を書く一番大もとになるたった四つの 記号素子(コドン)から、分子量何万もの、立体構造をもつ酵素やタンパク質がくみ上がる過程や、その一次構造から 三次構造までの階層の性質を理解するのに単なる「表記言語」的な構造だけでなく、音声言語の「音素」に相当するものや、 さらに音楽的概念でいう「リズム」「メロディ」「ハーモニー」「トーン」や「音色」といった要素概念を導入していた。 》  135-136頁

《 その装置をつくった段階では、彼はまだ慎重に、これらの音楽的概念を、総体を理解するための一つの考え方の「手引き」 であり、「比喩」にすぎない、という態度をとっていた。しかしその中でも、相当な自信を持って提出しているのは、 一まとまりの「有意遺伝情報」──たとえば、特定のタンパク質や酵素の──においては、ある特定のもの同士の間で、 「共鳴(リゾナンス)」という現象が存在し、それを媒介するのは、化学的過程だけでなく、「形態的」、あるいは 「フォゾン的」な過程で起る、という仮説だった。すなわち、遺伝子(ジーン)は、あるいは生命物質は、すでに「有意の 最小単位」の段階から、「共鳴」もしくは「共振」の現象を通じてコンミュニケーションをおこなっている、というのである。  》 136頁

 中村雄二郎の論述を読んでいるようだ。

《 ──最初から大きな「全体構想」があるわけではなく、あるメロディを奏する事のできる楽器としてのタンパク質があると、 それの親和性をもつもの、モディファイするものがだんだん「寄って」きて、お互いに相手と調子やハーモニーを「あわせ」 ながら、一つの大きな「楽曲」ができて行く、という説明をした。 》 139頁

 午前三時間、日大付属中学の男子生徒二人、女子生徒二人を、源兵衛川を下って温水池から流れる用水路まで歩き、そこで 水に入ってカワニナを採取。長靴ほどの深さはなくてほっ。四人、冷たい水に驚いている。
 午後二時間、境川清住緑地へ案内。砂を噴き上げる湧き水がどこも美しい。今までで最も美しい気がする。午後三時前、 グラウンドワーク三島事務所へ帰着。予定通り。ふう。

 ネットの見聞。

《 年金積立金がアメリカのインフラに使われることについて2月3日の衆議院予算委員会で質疑。GPIFの高橋理事長が答弁。 問題なのは7兆円前後が投資可能であり、結果としてアメリカのインフラに向かうこともあり得ると答弁をしていることです。  》 福島みずほ
 https://twitter.com/mizuhofukushima/status/828469802674974720

 ネットの拾いもの。

《 自転車は、相対速度的に微妙な位置にあり、自動車とも歩行者とも事故を起こすリスクがあるが、 そうしたリスクを低減するグッズとして、車軸にマニ車を仕込んだハブマニ車というのを考えた。 走行するだけで功徳を積めるので、走れば走るだけ極楽浄土へ近づくわけである。事故防止は自力で何とかせよ。 》 総統
 https://twitter.com/soutou_d/status/828850645562036224