『近代の〈物神事実〉崇拝について』四(閑人亭日録)

 ブリュノ・ラトゥール『近代の〈物神事実〉崇拝について──ならびに「聖像衝突」』以文社2017年初版、「第二部 転移的恐怖」を読んだ。

《 しかし、もし支配性の不在こそが、能動的形態も受動的形態も我々の結び付きを規定することができないということこそが、むしろ問われているとすればどうだろうか。 動詞の能動的でも受動的でもない形態としてギリシア語で「中動態」と呼ばれているものについて、いかにして的確に論じることができるだろうか。言い換えるならば、 物神事実は、常に客体と主体とが結び付けられている諸形態を、我々が過剰に真に受けないで済むようにしてくれる。つまり、「動かすもの」は、それが支配的な主体で あろうが原因となる客体であろうが、決して因果性としての力を有していない。そして「動かされるもの」は、必ずその行為を変形するのであり、したがって用具的な客体も 物化された主体も生み出さない。〔中略〕
  私はそれらの形象を、目の眩むような弁証法的な効果によってもう一度「乗り越える」ことを目指すのではなく、それらをただ単に無視しようと努めたい。 》 126頁

《 諸主体の作動や情熱を理解するためには、それらを何かに結び付けて作動させているものに目を向けなければならない。 》 130頁

《 物神ないし物神崇拝という概念は、まさに、必然性や自由という言葉を用いる人々と、自分たちを存在させている多くの存在によって自分たちが掌握されていることを 知っている人々との間の、衝突に由来する。 》 133頁

《 〈西洋〉や〈近代〉という漠然とした用語が何を意味するのかということについては、常に議論が為されている。我々はそれらを比較的単純に定義することができる。 つまり、自らの諸々の物神事実を破砕した者には〈他の人々〉が奇妙に結び付けられた存在のように見え、マファルダの目に映るマファルダの父親と同様に、自らの信仰と 自らの受動性に捕らえられて身動きが取れなくなった怪物のように見えるのである。しかし、父親を理解していないのは娘の方であり、〈他者〉を理解していないのは 〈西洋〉の方である。〈他者〉は離脱の理想との対照で異国的なものとされるが、その理想は〈他者〉を確実に殺すだろう。──ただし、〈他者〉がその理想を本当に 適用するほどに無分別であった場合に限られるが。〈他者〉に行動をさせている諸々の結び付きをその〈他者〉のもとに見ることのできない人は、ただそのことによって、 自らが〈西洋人〉だと思い込み、〈他者〉たちは〈西洋人〉ではないと、それゆえ多くの〈他者〉であると想像する。 》 134頁

《 しかも儀式の支配者である西洋人たちは、彼らが「他者」たちに適用する自粛と離脱の規則を自分たちには適用しないように、かなり用心している。彼らが有している 諸々の結び付きは、〈自然〉と〈社会〉、必然性による統治と自由による統治という、彼ら自身の伝統の二つの巨大な収集者ないし蓄積者によって、単に要請されている のである。「グローバル化」という言葉の使用は、共通の世界というものが必然的にその二つの統治のどちらかの何らかの形での拡張であるだろうと、信じさせることを 可能にしている。招待する側の国々の見解によれば、議論の全体的な枠組みを議論する余地はないのだ。 》 135頁

《 実存主義構造主義、人権、それらは次々と現れる物神崇拝の化身である。つまり、自分たちは物神や信仰や素朴さを永遠に葬り去ったのだと信じ、それゆえ自分たちが 非常に利口であると信じている人々の化身である。しかし実際は誰も──彼ら自身さえも──素朴に物神を信じたことは一度もないのだ。 》 140頁

《 主体は、自らが所有していない自立性を、その主体のおかげで生じる諸存在に与えることで、自立性を受け取るのである。主体は媒介から学ぶ。主体は諸々の物神事実 から生じる。物神事実なしでは主体は死ぬだろう。 》 140-141頁

《 近代人は、物神事実より単純にしようとして、より複雑にしてしまった。より明快にしようとして、より難解にしてしまった。天使を作ろうとする者は人間を作る のである。 》 141頁

 「中動態」が出てくるとは。

 昼前、源兵衛川中流部、三石神社入口付近の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。ほぼ無くなり重くなって終了。帰宅。ふう。一汗。

 ネット、うろうろ。

《 面接官:「もし本学に入学したら何を研究しますか?」
  受験者:「仮定の話には答えられない」 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1349204287570628608

《 何が緊急事態宣言だ、青森市は元から20時以降飯屋なんかないぞ 》 スルッと残念
https://twitter.com/28forecasters/status/1348969539397029892

《 ドイツ・メルケル首相は文化芸術は危機の社会にこそ必要だと国民に訴え、米国では文化芸術関連の施設・団体に約1兆5000億円を支援する新法が成立した。 だが日本の財務省は、安全性と損失に関する我々の説明に耳を貸さず、50%の制限や時短を求めつつ、今もって飲食店のような協力金はない。 》 福井健策
https://twitter.com/fukuikensaku/status/1349140329203597313

 《 開催するために、「打ち勝った証」を徐々に緩めている感じ。
  「感染症の中にあっても」「終わった」ら、「乗り越えた証につながっていく」

  「新型コロナウイルス感染症の中にあっても成功裡に終わったということが、コロナ禍を乗り越えた証につながっていくのではないか」 》 武田砂鉄
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1348825744600809472

《 本当に酷い。「私の立場では、今年難しいとは口が裂けても言えない。」「私の最後の仕事。天命」とか。個人的な話じゃないでしょう。

  森喜朗会長 年頭挨拶で五輪開催へ決意「これが私の最後の仕事。天命」逆風の中(デイリースポーツ) 》 Masahiro Ito/伊藤雅浩
https://twitter.com/redipsjp/status/1348914993639563268

《 森喜朗会長「家内がスマホをみると、私の悪口ばかりだったそうだ。長い人生で初めて。森内閣でもこんなにひどくなかった」

  森内閣のころ連日あちこちで非難されてたし、私も何度かネタにした。
  “サメの脳みそ”ってのもよく言われてたし、都合よく忘れたのかもしれんが。
  あとスマホSNSもなかった。 》 松田洋子
https://twitter.com/matuda/status/1348895725954822145