『ミシェル・セール』三

 清水高志ミシェル・セール  普遍学からアクター・ネットワークまで』白水社2013年初版、「第2章 『自然契約』」を読んだ。

《 流動的で目に見えない自然は、私たちを呑み込むほど大きな存在だが、じつは私たちによって踏みにじられるもの、その存在を脅かされるものでもある。 私たちを包摂するものでもあり、なおかつないがしろにされた弱い存在でもある。自然がもっている両義性が、ここにはある。 》 98頁

《 人類の活動が次第にグローバルなものになるにつれ、それに対応する自然の反作用も、巨大なもの──まさに地球規模のものを、想定せねばならない。 この巨大さゆえにまた、それはかえって捉えがたいものになっている。(中略)どちらが相手を圧し、どちらが相手を包摂するのか、その行きつ戻りつする パワーバランスを、動的な構造として浮き彫りにすること。 》 100-101頁

 椹木野衣『震美術論』を連想させる。

《 つまるところ暴力や緊張関係には、主体的暴力によるものと客体的暴力に関わるものの、二種があることになる。(中略)主体的暴力には、それに先立つ法、 契約が存在しているが、客体的暴力にはいかなる法も存在しない。 》 104頁

 國分功一郎『中動態の世界』を連想させる。連想ばかりで、どう関わるのかは不明だが。

《 科学者集団がいかに形成されるのかという問いは、集団が生まれる成り立ちだけでなく、知の起源そのものの考察へと私たちを導かずにはおかない。 》  119頁

《 そこではもはや、集団の内部で行われる主導権(ヘゲモニー)争いだけが重要になってくる。こういった争いのなかで、いったん強固なヘゲモニーが 確立されると、それを崩すことはなかなかに困難だ。 》 119頁

 日本の政財界、美術界……。

《 真なるものを求めるというだけでなく、権力を与えるのも、知がもっている本質的な機能の一つである。 》 120頁

《 知の対象としての自然と人間集団との関係が、流動的なものとなり、人間集団が物(自然)を介しつつ、お互いの距離を巧みに取りながら、自然と対話する ──ことこそ、知の本来の躍動する姿があり、私たちが棲み分けつつ生きる新しい大地があるだろう。 》 122頁

《 物質(物体)としての媒体とそれが産み出す循環構造を、持続的な運動としてすべて辿ることはできないにせよ、そうした循環構造が、いくつも共-可能 (Com-possible)なかたちで散在しているものとしてしか、世界が理解できないことがセールにとっては重要であり、彼の世界観はそれで充分な安定を得る。 》  128頁

《 人類にとっての最初の道具とは何か。人類を人間たらしめた技術のもっとも根源的な形態は、ひも(紐帯、ロープ)であったろう、とセールが述べているのは 興味深い。 》 134頁

 ティム・インゴルド『ラインズ  線の文化史』を連想。

《 結びつき、ほぐれ、組み替えられる紐帯の総体としての自然。巨大なネットワークとしての生動する自然は、人類自身の知のあり方と、倫理のあり方が 変わるのと並行して、その姿を現わす。 》 137頁

 今朝の最低気温、午前七時一二分−3.3℃。そんなに寒かったかなあ。午前八時前起床。のんびりしていると八時半のゴミ出しに間に合わない。出して安心。
 午前、市役所での野暮用を済ませて帰宅。途中、移転した化粧品店の後にベーグルの店が入っていた。ベーグル店は三島商店街初じゃないかな。 食べたことないけど。
 昼前に音楽。一日に記したジンバブエのバンドMOKOOMBA のCD『 Rising Tide 』2012年をかける。心地よい熱風。(コピー&ペースト)
 https://www.youtube.com/watch?v=NBOF0L23CFs

 ネット、いろいろ。

《 ベルリンの壁崩壊から10314日、壁が存在した日数と並んだ 》 masahiro noguchi
 https://twitter.com/mnoguchi875/status/960166628901076992

《 西田幾多郎だけ読んでいると、なぜこんな、難しいものが読まれていたのか分かりにくいのだが、三木清の回想とかを読むと、 西田が読まれた当時としての論壇、文壇的な背景がわかる気がする。 》 清水高志
 https://twitter.com/omnivalence/status/960129058460745728

 なぜこんな、難しい清水高志を読んでいるんだろう。

《 先の価値観の多様性にまつわる話で思い出したのが、以前慶應西洋美術史の教授から専門を訊かれたので「主に非西洋藝術で、 西洋美術はローカルだという見地です」と答えたところ、「君は斜に構えて見るタイプだね」と返されたので「いいえ、それが事実なんです」 と答えたことがあった。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/960103501291384832

《 価値観が単一化すると、異論を攻撃とみなしてしまう過誤が生じる。そもそも異論をもつ相手でなければ議論の意義もなくなるわけだが、 議論を勝敗でとらえてしまう人々は少なくない。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/960103959405801473

《 悪口や批判って、言う人より言われる人のほうが、たいてい幸福。 》 一色伸幸
 https://twitter.com/nobuyukiisshiki/status/960014077035560960

《  日本がどこかから侵略されそうになって,「先人達が命を投げ打って守ってくれた」というのであれば,そうなんだろうけどね。

  実際には,全然そんなことなくて,むしろ,自分達で他国に侵略をしかけたあげく,自国の兵士を,こんなにたくさん餓死や病死させたって話だからね・
  http://mainichi.jp/feature/afterwar70/pacificwar/data1.html 》 岡口基一
 https://twitter.com/okaguchik/status/960132877588480000

《 ヤギには前から近づかない。馬には後から近づかない。愚か者にはどの角度からも近づかない事だ。 》 ユダヤの格言.bot
 https://twitter.com/Jewish_proverb/status/959722693535809536