「美は切片に顕れる」(閑人亭日録)

 秋の大通商店街まつり。先月23日(日)に続いて歩行者天国。前回、内野まゆみさんは、小さな正方形の木片に伊豆箱根鉄道駿豆線の電車の絵を描いたモノを展示、 販売。好評だった。きょうは、同じ大きさの木片に、源兵衛川で私が回収してきた茶碗のカケラを接着。彩色された木片とカケラの絶妙な対比、配色で魅了する。それを 縦四十センチほどの短冊型の板に彩色を施したものに五個を縦に並べて鋲でとめたモノを初めて販売。
 昨晩、内野さんから説明文を書いて、と突然頼まれる。書くしかない。二時間ほどかけて拙文を作成。印刷機など無いので下手な字。いたるところに修正液。 彼女に持って行くと、ぐっすりお休み。おいおい・・・。ま、明日があるさ。朝、近くのスーパーで原稿をコピー。ひでえ字だなあ。ま、仕方ない。内野さんはスマホで撮影。 フェイスブックに載せる。その全文。

《  「美は切片に顕れる」──内野まゆみ作品『古人(いにしえびと)の忘れもの』に寄せて──」
  私はそばを流れる農業用水路源兵衛川の川底の茶碗のカケラを拾っていた。この川は四百年ほど前、寺尾源兵衛という人が農業用水として整備したと伝えられる。 川沿いには人家が並び、文字通り、川で炊事・洗濯をした光景が、幼少のときには当たり前に見られた。
  そんな生活に密着した川なので、燃えないゴミ(ネズミの死骸も)は全部川へ捨てた。よって川底は、深さ一メートル以上も、茶碗のカケラなどが堆積している。
  三十年ほど茶碗のカケラなどを拾っているが、川底から消えたと思っていると、数か月後には「こんにちは」と湧いてくる。四百年の堆積物とのご対面ー、ひとつ ひとつ指でつまんで拾う。そして燃えないゴミの日に、「その他のゴミ」箱に投下。(以上一枚目。二枚目に続く)
  骨董のワカル人は「コレは江戸、コレは明治」と言い当てるが、私にはワカラン。ただのカケラ、である。
  しかし、世の中、目利きというか、常人とは全く違った審美眼をもつ人がいる。その一人が、デザインの仕事をしていた内野まゆみさん。
  彼女は茶碗のカケラを見て、いくつかを選んで洗浄。それを「カナヅチで叩いて割って(砕いて)」と依頼してきた。ふたつ返事で割る…一センチ足らずになったカケラ =切片を、内野さんはじっと見極め、たてよこ三センチほどの木片に色を塗った上に乗せて接着。ま、小さい立体コラージュみたいなモノができる。
  それを拝見して感嘆、天を仰いだ。
  川底に埋もれていたものが、思わず天を仰ぎたくなる、それも不用物として川底に捨てられたものが、作品=類例を見たことのない美術造形作品として再生、創造される。・・・行程を目の当たりにした幸運と作品の粋なすばらしさに目はクギづけに。
  この三十年、再生の途はないと思っていたものが!!
  何というイキなはからいだろう。
  割れた切片から見えてくる細部の魅力。
  美は切片に顕れる、と初めて気づいた。
               2022.11.2 》

 骨董古道具店「恵ぼし」の店先に短冊型の商品を八点展示。完売。買った方は女性。やっぱりね~。
 朝のコロナワクチンの接種のせいか元気が出なかったが、終わってみればバンザ~イ。なお、作品は内野さんのフェイスブックに掲載。私はフェイスブックには無縁。

 ネット、うろうろ。

《 中国では2021年春には不活化ワクチンが準備できていた。藤田先生によると、ワクチン製造は(コロナに限らず)大事なので常に育成していると。オミクロンの不活化ワクチンもまもなく利用可能になるらしい。一方日本では約3年たっても不活化ワクチン未完成。接種の推進だけでなく自国の開発力強化が必要。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1588085973081935872