中沢新一✕河合俊雄『ジオサイコロジー 聖地の層構造とこころの古層』創元社 二○二二年一二月二十日 第一版第一刷発行、「第三部 討論 中沢新一✕河合俊雄」を読んだ。
《 中沢 これは、じつは大きい問題で、人間の経済史から、宗教史から、全部が関わっている。僕は、マルクスの『資本論』を読んだときに、第一章が商品から書いてあるので、とても残念に思いました。どうしてかと言うと、先ほど言った新石器革命以後のことを書くのはいいんですけれども、商品から書くということは、それ以前の世界、狩猟・採集時代の世界に発生している価値問題というのを、全部無視してしまっているからです。だからこれは、いくら資本主義社会の矛盾を解明したとしても、人間を解放する理論にはならないだろうと思ったのはそれなんです。 》 132頁
《 中沢 デッサンもそうですけれども、ミニチュア化もデッサンも、だいたい根本的な原理は同じで、ヨーロッパでは情報縮減をやる。ところが盆栽は情報縮減をしないんですね。つまり、サイズがものすごく小さくなっているのに、その一個一個の松の肌を見てみると、一個一個が全部元と同じにある。木肌の線が全部あるんです。フラクタル相似形みたいにある。あれは日本人のミニチュア化の特徴で、要するに、自然をどう取り入れてくるかです。 》 176頁
《 中沢 宗教というのは、ある意味で言うと、人間に知性が発生した上部旧石器時代以後に発生し、次に農業革命によって象徴的な爆発が起こって、そのときの環境変化に対応するために人間がつくり上げてきた制度です。しかし、人間が宗教に頼ってこの世界を生きていく体制のまま、これから先の時代を生きのびていくことはできないように思います。
いま、人間はいろいろな危機にに瀕していますけれど、それを越えようとしていくとき、宗教のやり方に頼らないで、今ある科学だけでこれができるかどうかと言うと、これも大変心許ない。その大変心許ない科学の部分を、『レンマ学』で補強したいのです。 》 191頁
《 河合 『レンマ学』は難しいわ。
中沢 すみません(笑)。
河合 たぶん、日本であれを全部理解しているのは、一○人ぐらいしかいないんじゃないかな(笑)。
中沢 あれをいま英訳しているんです。英訳しているアメリカ人が、本当に正確に理解しているんですよ。もうびっくりしちゃってね。 》 198頁
『ジオサイコロジー』読了。話題があちこちに飛んでそれぞれに興味深い。その一端を引用。
昨日川底のゴミ拾いを多めの時間をかけてしたせいだろうか。昨夜は湿布薬を両肩に貼って就寝。疲れ=痛みはほぼ無くなった。きょうは休養日。老人の楽しみのように、北一明の茶碗を鑑賞。以前気づかなかった表現=魅力を発見。呑気に見ているだけではわからない。茶碗という形態における表現のあらゆる可能性を壮絶に探究していた北一明。異端、異能の陶芸術家だ。休養日の効用=高揚。
ネット、うろうろ。
《 今日は休むか。あー、休みたい、という気持ちがあるからそうする。日曜だし。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1619463760422510592
《 問題はデータでは無いと思っている。現在のAIが世界中のデジタル化されたデータを全て食い尽くそうとしている状況とその能力を比べれば一目瞭然。データに量に関わらず人間のように確率的な判断と、論理的な判断を瞬時に組み合わせる「AI以上」の発明が必要。自動運転のArgo AIの閉鎖が象徴的。 》 m-take
https://twitter.com/takeonomado/status/1619516712537444353
《 明治政府が近代化したフリを対外的にするためだけに全領域でコスプレしたのが、プロフェッショナル不在カルトジミン島のはじまりはじまり。『不平等を解消するためのテンポラリーな措置』があっという間に『伝統』に。メッキだって下地がしっかり整えられていれば簡単にボロボロになったりしないのよ 》 polarbear
https://twitter.com/polarbear_2017/status/1619163811340226560
《 最悪の発言、岸田はこの問題でも本質を把握していない、前時代的な男。問題の深部を把握せずに、防衛問題と共に表層的な対応で日本を破滅させる危険性のある政権だ。 》 中野毅
https://twitter.com/ts_nakano/status/1619521733362585601