『芸術マイナス1』補遺(閑人亭日録)

 大岡信『芸術マイナス1』弘文堂昭和35年9月9日初版で、まだ引用したい箇所がある。

《 絵にしても、最近のいわゆる抽象表現主義の画家たちの幾人か、たとえばサム・フランシスとかマーク・ロスコの巨大な画面に茫漠とひろがっている薄明の空間には、宇宙に充満している沈黙の遥かな反響があるようだ。ちょっと逆説的ないい方だが、沈黙にみちているから、そこには非常に音楽がある。沈黙のひろがりの中から音楽が生れてくる瞬間を視覚化したような、無数の見えない流れがある。 》 「アメリカの沈黙」(一九五九・八) 83頁

 佐倉市川村記念美術館で見たマーク・ロスコの大きな絵には魅了された。その理由をうまく言葉にできなかったが、そういうことか、と気づいた。それは、味戸ケイコさんの初期の絵にも感じる。そう考えてくると、私の美術への嗜好(志向)が見えてくる。
 https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/collection/#collection06
 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm

 一つ、気になった言葉を。

《 橋川文三氏の「日本浪漫派批判序説」──耽美的パトリオティズムの系譜──という文章である。未完だし、詩論でもないのだが、日本浪漫派の問題は、意識的にか無意識的にかこれまでほとんど正面から論じられてはおらず、その意味でも注文すべき論文である。 》 「詩論批評」 190頁

 「注文」は「注目」だろう。

 数日前、お散歩で見つけた源兵衛川上流部のヒメツルソバを抜く。ついでに上流と中流部をくまなく探す。石垣、コンクリートの隙間などいろいろな場所に出ている。まだ短いのが多い。が、手間がかかる。朝は寒かったが、まぶしい日差しを受けて暑い。土のう袋八分。帰宅。汗~。正午になる。