『記憶と芸術』六(閑人亭日録)

 進藤幸代「ハワイ・ポノイを歌うこと」結び。

 《 日本人に人気のあるホノルルマラソンにのコースには、ハワイアンが失った土地とハワイアンにとっての聖地が含まれ、外国資本のホテルが立ち並び、スタート地点ではハワイ・ポノイも歌われる。いわばハワイアンにとってホノルルマラソンは、自分たちが失ったものを象徴するイベントなのである。 》 211頁

 萩原朔美「意味を逃れる」から。

《 思い出というものはない。思い出すという行為があるだけだ。 》 221頁

《 数ヶ月前、誰の著作だか忘れてしまったが、「すぐれた学説、力ある学説は、全てその起源に、詩的直感をもつ」という文章に出会った。ビックリした。論文の世界にも韻文の要素が必要なのだ。詩という、意味から自由に飛翔した言葉を、学説のなか中にも潜ませる。それはきっと論理によって伝わる文字列ではなく、感性を刺激し心に伝わる論文なのだろう。 》 223頁