『時間は存在しない』二(閑人亭日録)

 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第一部 時間の崩壊」、「第四章 時間と事物は切り離せない」を読んだ。

《 時計が登場するまでの何千年もの間、時間の正しい尺度はただ一つ、昼と夜の交代だけだった。 》 65頁

《 ニュートンが登場するまで、人類にとっての時間は事物の変化を測定するための方法だった。それまで誰も、時間が事物と無関係に存在し得るとは考えていなかったのだ。 》 71頁

《 アインシュタインのもっとも重要な業績、それはアリストテレスの時間とニュートンの時間の統合である。 》 76頁

《 時空は重力場である。そしてその逆もいえる。ニュートンが直感したように、この場は、物質がなくてもそれ自体として存在する。しかし、ニュートンの主張にあるようなこの世界のほかの事物と異なる実在ではなく、ほかの事物と同じ「場」なのだ。世界はキャンバスの上に描かれた絵ではなく、キャンバスや層が重ね合わされたもので、重力場もそれらの層の一つなのである。重力場もほかの馬と同様、絶対ではなく、一様でもなく、固定されているわけでもない。しなやかで、伸びたり、ほかのものとぶつかったり、押したり引いたりする。物理学の方程式は、すべての場が互いに及ぼし合う影響を記述する。そして時空も、そのような場の一つなのだ。 》 78頁

《 現実には重力場という構造がある。それは物理のほかの部分と切り離されることはないし、この世界が通り過ぎるただの舞台でもない。 》 81頁

《 なぜなら量子力学が存在するからだ。重力場も、それ以外のすべての物理的存在と同じように、量子的性質を持っているはずなのだ。 》 82頁

 「第五章 時間の最小単位」を読んだ。

《 これまで紹介してきた相対論的物理学の奇妙な風景は、量子、すなわち空間や時間の量子的な性質を考えに入れると、ますます異様なものになる。 》 83頁

《 量子力学は、物理的な変数が粒状であること(粒状性)と[ゆらぎや重ね合わせにより]不確定であること(不確定性)とほかの関係に依存すること(依存性)、この三つの基本的な発見をもたらした。そしてこの三つの発見の一つひとつが、わたしたちの時間の概念の残滓をさらに破壊する。 》 84-85頁

《 ここで、この本の第一部で試みた、深みへの長い急降下を振り返っておこう。時間は唯一ではなく、それぞれの軌跡に異なる経過期間がある。そして時間は、場所と速度に応じて異なるリズムで経過する。時間は方向づけられていない。過去と未来の違いは、この世界の基本方程式のなかには存在しない。それは、わたしたちが事物の経過をはしょったときに偶然生じる性質でしかない。そのような曖昧な視野のなかで、この宇宙の過去は妙に「特別な」状態にあった。「現在」という観念は機能しない。この広大な宇宙に、わたしたちが理に適った形で「現在」と呼べるものは何もない。時間の持続期間を定める基層は、この世界を構成するほかのものと異なる独立した実体ではなく、動的な場の一つの側面なのだ。跳び、揺らぎ、相互作用によってのみ具体化し、最小規模に達しなければ定まらない側面……。だとすれば、時間の何が残るのか。 》 92-93頁

 「第一部 時間の崩壊」、読了。うーん、一読しただけではわからん。ミステリよりミステリアス。

 昼前、源兵衛川中流、水の苑緑地・かわせみ橋下流の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。下流の無名橋までの回収は、今季終了。無事帰宅。汗。紅茶を飲む。ふう~。
 午後、通り雨。悪い予感がして早めに洗濯物を取り込んで正解。

 ネット、うろうろ。

《 人工知能bot全盛の時代になっても、本物の哲学者は生き残るだろうな。いままで問われたことのなかった問いを立てて提案する仕事は哲学の本道で、現状の人工知能の発展では無理だろうから。ウィトゲンシュタインやヴァレラらがやったような仕事。 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1629385618676682753

《 そもそもいつマイナンバーカードに保険証機能を持たせることになったんだよ。
  同意した覚えはないぞ。 》 こおろぎ@置かれた場所を裂きなさい⚱️×0💉×0
https://twitter.com/kokoronoyu/status/1629080899152379904

『時間は存在しない』(閑人亭日録)

 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第一部 時間の崩壊」、「第一章 所変われば時間も変わる」を読んだ。「第二章 時間には方向がない」を読んだ。

《 過去と未来が違うのは、ひとえにこの世界を見ているわたしたちの視界が曖昧だからである。 》 40頁

《 こうなると、時間に対するわたしたちの通常の理解の仕方は根底から覆されることになる。 》 40頁

《 時間の流れを特徴づけるすべての現象は、この世界の過去の「特別」な状況──その状況が「特別」なのは、わたしたちの視野が曖昧だから──に由来するものなのだ。 》 40頁

 「第三章 「現在」の終わり」を読んだ。

《 「現在」という概念と関係があるのは自分の近くのものであって、遠くにあるものではない。 》 49頁

《 遠くにあるのは、わたしたちの過去(今見ることができる事柄の前に起きた出来事)だ。そしてまた、わたしたちの未来(「今、ここ」を見ることができるこの瞬間に起きる出来事)もある。 》 50頁

《 「宇宙の現在」が存在しないということが明らかになってから、すでに一○○年以上が経った。それでもわたしたちはこの事実にとまどい続けており、未だに直感的に把握することが難しいらしく、時折反抗心に駆り立てられた物理学者たちが、そんなのは嘘だと主張する。 》 59頁

 なんともあっけにとられる。写し違いがすごく心配。

 ネット、うろうろ。

《 批判理論を学んで30年。コミュニケーションによる合意は談合へ、承認をめぐる闘争は同調へと反転する。そして、談合と同調を民主主義と相いれないと思う人もあまりいない。マイノリティには「無理せず多数派に合わせればよいのに」と親切心でそう思う、悪意のない、いい人がたくさんいる社会。 》 出口剛司
https://twitter.com/Fromm_Deguchi/status/1628710419107057665

《 「戦争が始まった時に備えて反撃能力(ミサイルなど)を増強しシェルター作る」とか、日本政府の語る説明は軍備増強の話ばかりで、国民の暮らしがどう激変するか、それへの対処は、という話が絶望的なほど欠落している。

  なぜそうなのか?

  米軍の所轄外だからなんでしょう。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1628360832110452738

《 お手軽論法。

  ①政府自民党が問題を起こす
  ②野党が問題を取り上げる

  ③三浦瑠麗さんとかフジ壺や産経なんかが野党を腐す

  政府自民党が起こした問題を、こういう形で援護・擁護する。
  ずっとこんなことやっているよね。
  これで日本が良くなるわけがない。
  日本を腐らせる原因がこの人達。 》 尾張おっぺけぺー
https://twitter.com/toubennbenn/status/1628640951249014785

《 ジミンのせいだよ😡
  う、ら、ぎ、り、も、の💢 》 ウメQ
https://twitter.com/Q11983213/status/1628700970283859969

里見龍樹『不穏な熱帯』九(閑人亭日録)


 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第六章 沈む島々」後半を読んだ。

《 「深みの縁、水路の縁に行けば生きた岩が見られる」という右の言葉にも見られるように、このサンゴ礁内での「浅瀬」と「深み」の区分は、「岩」に関するアシの認識や経験と密接に関連している。(引用者・略)
  このような語りは、「深み」で「生きた岩」が豊富に「育っている」というアシの認識が、単なる観念ではなく、カヌーでの移動や漁撈活動といった、この人々における日常的・実践的な海洋空間の経験に根差していることを示している。 》 370頁

《 注目すべきことに、このような移動の経験において、「深み」の「生きた岩」は、可視性と不可視性の境界線を行き来している。 》 370頁

《 アシが関わりを結び、その「海に住まうこと」を可能にしているのは、まさしくそのようにつねに成長し変化する「自然」なのだ。 その限りにおいて、アシの島々は決して、何もない海の中に「人工的」に造られたものではない。 》 384頁

《 そして、われわれはどこで、どのように住まうべきなのか?」という問いを投げかけ続ける。本書の第一部で指摘した「海に住まうこと」の揺らぎは、その点において、「自然」と関わることによってつねに変転し続け、「アイデンティティの識別不能地帯」に歩み入っていくアシの人々のあり方を表すものにほかならない。そしてそれこそが、本書で思考し、記述しようとした「民族誌の自然」(「はじめに」を参照)にほかならないのであるり、またここにおいてアシは、強い意味で、「人新世」や「『自然』の終わり」を生きるわれわれの同時代人として姿を現している。 》 388頁

 「おわりに」を読んだ。

《 そしてフィールドワークの結果として生み出される民族誌とは、まさしくそのような識別不能地帯、あるいは本書で言う「不穏な熱帯」の体験の産物に他ならない。そに意味において、実体として想定された「文化」や「社会」ではなく、「広義の自然」とそれとの関わりにおいて成長する識別不能生こそが、民族誌の対象にして可能性の条件にほかならない。おそらく、これまでも人類学とはつねにそうした営みであったが、一連の転回を経て、現在そのことはこれまで以上に明確になっている。 》 400頁

《 本書の冒頭では、フーコーを参照しつつ、そのような「自然」と、自己同一性を離れた識別不能地帯について書こうとする民族誌が、一つの「外の記述」とならざるをえないことを示唆した。民族誌記述を通して「歴史」や「自然」の概念を絶えず不安定化し、そうすることで更新していこうとする本書は、そのような「外の記述」の試みにほかならない。 》 401頁

 広義の美術、不穏な美術、美術史の揺さぶり、転回・・・。いろいろな発想が浮かぶ。
 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』、読了。


 昨日、裏の蓮馨寺さんから依頼され、友だちが制作した茶碗の切片と割れたお皿を板の上下に組み合わせたモノを収めたが、奥さんから説明書きを求められ、昨晩書き上げ、今朝(手書きの文の)コピーを取り、午後お寺へ持っていく。以下、その短い解説文。

    「陶工たちの夢」
   遠い昔、陶工たちは、茶碗やお皿に
   筆で絵付けをしていました。
   欠け、砕けた焼きものは、川へ
   捨てられました。
   源兵衛川に埋もれた茶碗の
   カケラを掬(すく)い、洗い上げて
   制作したものが、これです。
   古(いにしえ)の陶工たちの心意気と
   技(わざ)が、陶片から伝わってきます。
   陶工たちの夢の一片が見えてくる
   ようです。
              制作 内野まゆみ
               文 越沼正
              協力 平成建設

 ネット、うろうろ。

《 岸田首相はこんな表現が多い
  👇
  「適切な対応を考え続けなければならない」

  考え続けるだけだと具体的に何もしないだろう 》 西村 カリン (Karyn NISHIMURA)💙💛
https://twitter.com/karyn_nishi/status/1628355696033931265

《 岸田の考え、休むに似たり
  岸田の検討、休むに似たり
  岸田の議論、休むに似たり 》 buu
https://twitter.com/buu34/status/1628366598666072064

《 岸田のやる事、無駄ばかり💢 》 モリチャン
https://twitter.com/himeroco/status/1628368382671331329

《 ノーベル賞などの受賞者が、岸田政権の進める学術会議への介入法案に対して声明。
  「性急な法改正を再考し、学術会議との議論の場を重ねることを強く希望する」
  ノーベル賞受賞者が出るたびに、時の首相が電話しその声を聞いてきたはずだ。
  今度は無視するとでもいうのか。 》 山添 拓
https://twitter.com/pioneertaku84/status/1628387636053446656

《 「雇止めになった人のすぐ横で、更新された人たちが喜び合う」
  「それを目の当たりにするのが辛くやるせなくて涙が出てくる」
  「こんなことを続けるのは麻痺をしているとしか思えない」
  職場にこんな分断を持ち込んでいるのが非正規公務員という制度。あまりに残酷。
  そして、培われた経験は無になる。 》 弁護士 市橋耕太
https://twitter.com/nukonekocat/status/1627692226724888577

里見龍樹『不穏な熱帯』八(閑人亭日録)

 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第六章 沈む島々」前半を読んだ。

《 そして、同じく二○一一年のフィールドワークで明らかになったように、「沈み」つつあったのはフォウバイタ村の埠頭だけではない。すでに述べた通り、島々はすべて、はじめは「生きている岩」で造られるが、岩がやがて「死ぬ」ことで「低くなる」とされる。「死んだ岩」がばらばらに「割れ」、あるいは「軽くなった」潮流に流されることにより、島は「崩れて」いく。アシ自身の了解によれば、自分たちが住まっているのは、そのような「死んだ岩」の山の上にほかならない。 》 332頁

《 これに対し、私の考えでは、「至るところで人間活動と自然はもつれ合っている」とされ、「もはや外部はない」とされる「人新世」においてさえ、なおもある種の外部としての「自然」について語ることは必要である。そして、「自然/文化」の近代的な二元論と「自然=文化」の関係論的な一元論の双方を超えて、また、「人新世」における「『自然』の終わり」論をも通り抜けて、アシにおける「生きている岩」との非 - 近代的な関わりを民族誌的に記述する上で求められるのは、まさしくそのような「自然」の概念なのである。そして、「ツナミ」の後の二○一一年のフィールドワークにおいて私の前に浮上していたのはたしかに、人間〈以前〉的であると同時に人間〈以後〉的なそうした「自然」の概念であった。 》 344頁

《 そしてこのように見ることで、アシの「海に住まうこと」をめぐる危機や終末論、そしてそこに含意された非 - 近代的な「自然」は、単なる「文化的信念」にも「人新世」のイメージにも回収されえない、本質的に多義的なものへと翻訳されることになる。 》 352頁

 ネット、うろうろ。

《 おはようございます。 》 マキエマキ
https://twitter.com/makiemaki50/status/1628184211445407744

《 例えば日本の国家予算に占める文化予算の割合は、わずか0.1%。寄付金制度が強い米国を除いて、下記の先進国では圧倒的な最下位です。
  韓国との差は前回より更に開いて実に12分の1。各国がコンテンツ・情報立国に産業構造を変えようと舵を切ったのも格差の原因です。 》 福井健策 FUKUI, Kensaku
https://twitter.com/fukuikensaku/status/1628175223605596161

《 岸田首相を始めとする自民党の政治家たちが日頃、先進国の“共通の価値”として口にする「自由、法の支配、人権」が、いかに嘘っぽいかが、ここに示されたようなミャンマー政府へのすり寄りかたを見ていれば明らかである。 》 m TAKANO
https://twitter.com/mt3678mt/status/1628191497349914625

《 もし「先制攻撃」になれば「日本は侵略者」 敵基地攻撃能力 政府は回避策を示さず 国会論戦の状況は 》 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/232457

《 日本は目の前の現実に押し流されていないか 宇野重規さんの問いかけ  聞き手 編集委員・豊秀一 》 朝日新聞DIGITAL
https://digital.asahi.com/articles/ASR2J5SHYR28UPQJ006.html?ptoken=01GSVBQS0M8BJTX26GKSDYE65F

里見龍樹『不穏な熱帯』七(閑人亭日録)

 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第五章 生きている岩」を読んだ。深まる思索。

《 このようにサンゴとサンゴ礁は、近代的な自然科学から見ても一つの未知の領域をなしているのであり、一方に盤石な「科学的知識」があり、それが他方の「文化的信念」を評価する基準となるという近代的な想定は成り立たない。 》 283頁

《 以上で引いたいくつもの言葉に見られるように、「生きている岩」をめぐるアシの語りには、われわれが「自然」と呼ぶものの、人間〈以前〉的な成長性や運動性についての認識、すなわち「岩」は自分たちの営みとは無関係に海の中でつねに育っているのであり、自分たちはそれを、言うなれば事後的に利用して暮らしているのだ、という意識が明確に表現されている。 》 283頁

《 そのようにこの人々は、島々が具現する「広義の自然」との関わりにおいてつねに自らを問い直し、そうすることを通して変転し続ける。 》 284頁

《 掘り出された「岩」は、先の日誌にもあったように、はじめ「スカ」と呼ばれる小山のかたちで海底に積み上げられる。この時点では、「岩」はまだ毎水の中にあるので、「生きている」とされる。 》 298頁

《 先のエリフォウ島がそうであったように、新たな島が創始される際、当初建設されるのは通常、その上に住居一軒がようやく建てられるだけのごく小さな島にすぎない。 》 299頁

《 ここで語られているのは、まさしく人間〈以前〉的と言うべき「岩」の生と、言うなればそれに寄生するようにして暮らすアシの人々の姿にほかならない。そして、本書が「自然/文化」の二分法に代わる新たな「自然」の思考を見出そうとするのは、まさしくここにおいてである。 》 300頁

《 今日の人類学において、認識主体としての近代的「人間」像と不可分に結び付いた「自然/文化」の二分法を離れて、いかなる民族誌を書くべきか。 》 324頁

 昼前、源兵衛川中流、水の苑緑地・かわせみ橋下流の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。ぐっと重くなって終了。帰宅。一汗。ふう~。コーヒーを飲む。

 ネット、うろうろ。

《 ブラッド・メルドーもまた「藝術はなんの役にも立たない」というオスカー・ワイルドの言葉を「彼はそうやって社会的意味にまつわる干渉から藝術の自治を守ったのだということに気づいた」と述べた。いわば一元的なロジックから、藝術のロジックを護るための「なんの役にも立たない」擬態であったと。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1627576425665675264

《 仮定の質問に答えられないのなら、仮定の戦争に対して軍備を拡張するのもやめてくれ。 》 ラサール石井
https://twitter.com/bwkZhVxTlWNLSxd/status/1627853490025541632

《 ほんこれ。
  今の理系人材難は、30年前にポスト増なき「大学院重点化政策」見て既に予測できた。
  ポスドクの旅から未だ日本に帰ってこない知人がいるが、理由はポストに空きがないから。日本の会社も採用しない。博士を使いこなすマネジメント技術がない。(管理職はドラッカーの「マネジメント」位読め 》 リケマム
https://twitter.com/sakanoue_rakuen/status/1627917162039087104

里見龍樹『不穏な熱帯』六(閑人亭日録)

 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第四章 イメージとしての島々」を読んだ。不穏な姿が現れてくる。

《 私自身のこれまでの民族誌も含め、多くの人類学的研究は、たとえばアシの島々のような景観を「物覚えのよい景観」とみなし、人々の社会的・歴史的な活動の痕跡をそこに読み取ろうとしてきた。先にトーマスに見たような歴史的人類学のアプローチもこれと同様である、これに対し、右の民族誌でハリスンが想定しているのは、より複雑な関係である。すなわち、セピック地方に見られる景観とは、人々が自らの社会的・歴史的痕跡を意図的に消失させる結果現れる、「自然/社会」や「自然・歴史」という通常の二分法を──そればかりか、次章で視るような、「自然=文化」という現代的な一元論をも──逃れrるような景観にほかならない。右で見たような水路や持ちは、河川の氾濫や草木の繁茂といった人間〈以前〉の現象に根差しつつ、それと同時に人々が環境に手を加えるのをやめることによって立ち現れる、ある意味で人間〈以前〉の「自然」としてある。このようなハリスンの洞察にはたしかに、第二章で見たようにいわゆる存在論的転回が問題にした「自然/文化」の近代的二分法、さらには、「すべてが自然的かつ社会的なハイブリッドである」とする関係論的な一元論をも超えて、メラネシアにおける「歴史」と「自然」を非 - 近代的な仕方で考える手がかりがあるように思われる。
  さらに、ハリスンの描くセピック地方における自然環境との独特な関わり、具体的には右で見た水路や道といった両義的な形象は、ストラザーンの言う「イメージ」、すなわち社会的・文化的な文脈化からの切断や脱落を具現する形として理解されうる。(引用者・略)他方、すでに見たようにストラザーン自身、メラネシアの地形や景観が、社会的・文化的文脈化を逃れる「イメージ」として体験されうることを指摘しており、その限りにおいて、セピック地方における両義的な地理的形象は、彼女の言う「イメージ」にたしかに合致する。 》 252-253頁

《 それらの島々は、もともと人の手で築かれている以上、「手付かずの自然」ではないが、かといって、以下の第三部で論じるように、「自然的」かつ「社会的・文化的」なハイブリッドなどとして理解されうるものでもない。それらはむしろ、セピック地方の水路や道と同じように、島々を結ぶ広義の交換という「社会的」なネットワークやその歴史からたえず脱落する無関係の形象、あるいはストラザーンの言う「イメージ」として、アシの人々と人類学者の前に不穏な姿を現しているのである。 》 254頁

《 バエの木が倒れるという出来事は、この人々が知るかぎり、一○○年あまりと推定されるフォウイアン島の歴史の中ではじめてのことであり、次章以下で見るように、このきわめて不穏な出来事は人々の間に多大な動揺を引き起こした。
  フォウイアン島の倒木は、アシの人々の前に、そしてまたフィールドワーク中の私の前に、いかなる文脈に位置付ければよいのか不明の、禍々しく得体の知れない対象として横たわっていた。 》 258頁

 ネット、うろうろ。

《 今日もメトロポリタン美術館で仕事してました。
  エトルリアの宝飾品、BC5世紀頃。この0.2mmくらいの粒度での加工精度には圧倒される。まだローマは共和性が始まったばかりで、先進都市国家エトルリアから見たら「蛮族」はローマの方だった時代。 》 m-take
https://twitter.com/takeonomado/status/1627159832296886272

《 ブリコラージュから作品制作まで、造り手たちは造っているものが自ら考え、成りたいように成っていく動きに呑みこまれる。これは主体が拡張であり、現実の拡張である。この主体の変容が起きている作品には、どんなにコンパクトであっても揺さぶられる。逆に、計画通りの作品は、大作であっても虚しい。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1627158541839765504

《 このまま行くと貧困老人は負担額の増えた医療を受けにくくなり、電気代節約のため夏冬の過酷な気候にも勝てないので、自然と高齢者の生存率が下がっていくのではないだろうか。そうなりそうなのを放置することで事実上見捨てているのだから、社会全体でゆっくり殺していっているとも言える。 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1627455403314540545

《 マイナンバーカード事業の入札実態が8割超も「無競争」という異常事態に陥っていると判明。2兆円超が注ぎ込まれているマイナポイント事業においても、五輪汚職事件で悪名高い「電通」が巨額のCM事業を連続して受注するなどしている。カード押し付けに躍起となる自民党政府との癒着構造の追及が不可欠。 》 異邦人
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1627451342657835008

《 五輪汚職・談合事件によって「電通」の入札資格を停止する自治体が相次いでいる中で、自民党政府が巨費を注ぎ込んで垂れ流している「マイナポイント」のCM事業は、相も変わらず「電通」が連続して受注しており、今も平然と新しいCMが流されている。ここまで来ると自民党政府も立派な「共犯者」だろう。 》 異邦人
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1627459414692331520

《 元自衛艦隊司令官が語る 身の丈超えた「安保大転換」/滝野隆浩・社会部専門編集委員 》 毎日新聞
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20230207/pol/00m/010/011000c

里見龍樹『不穏な熱帯』五(閑人亭日録)

 里見龍樹『不穏な熱帯  人間〈以前〉と〈以後〉の人類学』河出書房新社二○二二年一一月三○日初版発行、「第三章 歴史に抗する島々」を読んだ。

《 初期植民地時代のヨーロッパ人訪問者たちによる記録には、アシ地域における島々の形成史について示唆的な事実が見出される。たとえば、一九○○年代に英国国教会の船でアシ地域を訪れたクームは、同地域の島々は「二○個くらい」と記録している。また先述の宣教師アイヴェンズの著書には、一九二七年の滞在に基づき、三五個の島がそれらの名称とともに列挙されている。これに対し、本書の「はじめに」で述べた通り、現在のアシ地域には九○個以上の島が現存する。すなわち、これらの記録を信じるならば、アシの島々の大多数は、以下で述べるように、アシ地域がすでに西洋世界と継続的に接触するようになっていた二○世紀以降に建設されたものと考えられる。 》 190 -191頁

《 このように、現在見られるアシの島々は、まさしく本書で言う初期植民地時代に急速に拡大したのである。その意味で、それらはすぐれて歴史的な島々、具体的に言えば、サーリンズが描いたハワイ諸島とある意味で同様に、西洋を中心とするグローバルな政治経済の拡大という歴史的文脈の中に位置付けられるべき島々であると言える。 》 191頁

《 しかもこの時代は、次に述べる通り、「オメア」と呼ばれる戦闘・襲撃が激化した社会的混乱と流動化の時代であった。 》191頁

 ネット、うろうろ。

《 今日は夫につきあって岐阜県現代陶芸美術館の特別展を見てきた。木彫、金工、漆工、陶磁、ガラス、水墨画ペーパークラフト、切り絵、刺繍各ジャンルの現代作家と明治の超絶技巧。こういう展示を見るのは3回目くらいだがいつも「うわー」「すごー」以外の言葉が出てこない。
  https://cpm-gifu.jp/museum/exhibition?exh=exhs_current&room=Gallery-I 》 大野左紀子
https://twitter.com/anatatachi_ohno/status/1626938976291663873

《 絵を「わかる」と言っている知識人が、実際はまったく絵を見ることができないで、ただそこから読み取ることのできる「言葉」や来歴だけで判断して「よい絵」と言っているのを嫌というほど見てきて失望した。

  その絵と作者の来歴、美術史上の位置を知らないで、その絵の良しあしを初見の一瞬で把握できる知識人にほとんど出会ったことがない。/造影剤CTの結果 手術 / 東京画廊BTAP 山本豊津さん 》 福山知佐子のブログ
http://chitaneko.cocolog-nifty.com/blog/2023/02/post-01bce4.html

《 あなたの趣味が何であっても、それを(他人に迷惑をかけない範囲で)好きだと表現しても良い。
  でもそれは「基本的人権の尊重」の話。
  「表現の自由」はちょっと違う。
  憲法に定められた「表現の自由」とは、権力者を批判できる権利の意味。
  それは権力側に反対者を弾圧させない為の権力側に向けた条項。 》 柿直人
https://twitter.com/kakki_nao/status/1627155245469138946

《 河野太郎はただの世襲議員で王族でも貴族でもない。日本の政治は王政でも貴族政でもない。なのになんでこんな「単なるデジタル大臣」が、国民の生殺与奪を左右できる健康保険証を勝手に廃止するだの特別措置で一年だけ有効にしてやるなどと決められるのか?

  ここに疑問を呈しない報道企業は政権の犬。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1626959776491139072