『時間は存在しない』二(閑人亭日録)

 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行、「第一部 時間の崩壊」、「第四章 時間と事物は切り離せない」を読んだ。

《 時計が登場するまでの何千年もの間、時間の正しい尺度はただ一つ、昼と夜の交代だけだった。 》 65頁

《 ニュートンが登場するまで、人類にとっての時間は事物の変化を測定するための方法だった。それまで誰も、時間が事物と無関係に存在し得るとは考えていなかったのだ。 》 71頁

《 アインシュタインのもっとも重要な業績、それはアリストテレスの時間とニュートンの時間の統合である。 》 76頁

《 時空は重力場である。そしてその逆もいえる。ニュートンが直感したように、この場は、物質がなくてもそれ自体として存在する。しかし、ニュートンの主張にあるようなこの世界のほかの事物と異なる実在ではなく、ほかの事物と同じ「場」なのだ。世界はキャンバスの上に描かれた絵ではなく、キャンバスや層が重ね合わされたもので、重力場もそれらの層の一つなのである。重力場もほかの馬と同様、絶対ではなく、一様でもなく、固定されているわけでもない。しなやかで、伸びたり、ほかのものとぶつかったり、押したり引いたりする。物理学の方程式は、すべての場が互いに及ぼし合う影響を記述する。そして時空も、そのような場の一つなのだ。 》 78頁

《 現実には重力場という構造がある。それは物理のほかの部分と切り離されることはないし、この世界が通り過ぎるただの舞台でもない。 》 81頁

《 なぜなら量子力学が存在するからだ。重力場も、それ以外のすべての物理的存在と同じように、量子的性質を持っているはずなのだ。 》 82頁

 「第五章 時間の最小単位」を読んだ。

《 これまで紹介してきた相対論的物理学の奇妙な風景は、量子、すなわち空間や時間の量子的な性質を考えに入れると、ますます異様なものになる。 》 83頁

《 量子力学は、物理的な変数が粒状であること(粒状性)と[ゆらぎや重ね合わせにより]不確定であること(不確定性)とほかの関係に依存すること(依存性)、この三つの基本的な発見をもたらした。そしてこの三つの発見の一つひとつが、わたしたちの時間の概念の残滓をさらに破壊する。 》 84-85頁

《 ここで、この本の第一部で試みた、深みへの長い急降下を振り返っておこう。時間は唯一ではなく、それぞれの軌跡に異なる経過期間がある。そして時間は、場所と速度に応じて異なるリズムで経過する。時間は方向づけられていない。過去と未来の違いは、この世界の基本方程式のなかには存在しない。それは、わたしたちが事物の経過をはしょったときに偶然生じる性質でしかない。そのような曖昧な視野のなかで、この宇宙の過去は妙に「特別な」状態にあった。「現在」という観念は機能しない。この広大な宇宙に、わたしたちが理に適った形で「現在」と呼べるものは何もない。時間の持続期間を定める基層は、この世界を構成するほかのものと異なる独立した実体ではなく、動的な場の一つの側面なのだ。跳び、揺らぎ、相互作用によってのみ具体化し、最小規模に達しなければ定まらない側面……。だとすれば、時間の何が残るのか。 》 92-93頁

 「第一部 時間の崩壊」、読了。うーん、一読しただけではわからん。ミステリよりミステリアス。

 昼前、源兵衛川中流、水の苑緑地・かわせみ橋下流の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。下流の無名橋までの回収は、今季終了。無事帰宅。汗。紅茶を飲む。ふう~。
 午後、通り雨。悪い予感がして早めに洗濯物を取り込んで正解。

 ネット、うろうろ。

《 人工知能bot全盛の時代になっても、本物の哲学者は生き残るだろうな。いままで問われたことのなかった問いを立てて提案する仕事は哲学の本道で、現状の人工知能の発展では無理だろうから。ウィトゲンシュタインやヴァレラらがやったような仕事。 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1629385618676682753

《 そもそもいつマイナンバーカードに保険証機能を持たせることになったんだよ。
  同意した覚えはないぞ。 》 こおろぎ@置かれた場所を裂きなさい⚱️×0💉×0
https://twitter.com/kokoronoyu/status/1629080899152379904