それいぬ

 朝、体が病気でないことは幸運なことだと実感しながら歩いていると、停まった車の知人から美術館まで「乗っていきませんか」。好意に甘える。彼は朝風呂の後これからパチンコ遊びに行くと言う。健康ならばこういうこともできるしなあ。

 嶽本野ばら「それいぬ」文春文庫PLUS2001年読了。副題は「正しい乙女になるために」。とても楽しゅうございました。含羞あるギャグ満載でしたわ。乙女言葉にすぐ感染してしまう感じやすいワタクシ。「努力と根性」から引用。
「『努力』は自分のいたらなさを克服しようといたしますが、『根性』は自分だけではなく、状況のいたらなさを捩じ曲げようとする手前勝手なパワーです。両者はそれぞれに『物理的方法論』と『想念的方法論』と換言してもよいのかもしれません。」
「社会なんてスプーンより簡単に捩じれちゃうものです。『いい張る』『思い込む』『反省しない』は生活の三原則。祈れば奇跡はおきなん、です。」
 「いい張る」「反省しない」「思い込む」って、吾妻ひでおのマンガに通じない?オジサンは直結しているように思えてならないんだがね。
 私は着るものにはほとんどこだわらない。服選びが面倒で、ブレザーなんか二九歳のときに買ったものを今年も着ている。だから嶽本野ばらの洋服への愛着は「はあ」としか感想がない。
「Dior様! 僕は貴方の忠実な使途です。新婚旅行は熱海で我慢して、サラ金を総なめで梯子しようとも、僕の花嫁にはChristian Diorのローヴ・ド・マリエを購入いたします。」
 と言われてもわからないわ。でもとってもステキなドレスだろうな。
 それにしても、彼もエリセの「ミツバチの囁き」を好きだとは。ここには知人が複製してくれたDVDがあるけど、まだ観ていない。以前の日録に書き損なったけど、伊豆の国市ギャラリーNoirのカフェには「ミツバチの囁き」のパンフレットがさりげなく置いてあった。

 ブックオフ長泉店で二冊。内田百ケン「百鬼園随筆新潮文庫2002年初版、D・H・ローレンス「アメリカ古典文学研究」講談社文芸文庫1999年初版、計210円。