2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

知覚の果てのその先(閑人亭日録)

北一明、味戸ケイコ、内野まゆみ、そして奥野淑子、白砂勝敏の五人に共通する特質。知覚の果てのその先への眼差しが、制作行為に影響を与えているのでは、と思う。その先への眼差しとは、なんとも奇妙な表現だが、今はそう書くしかない。手探りの先にある何…

様式 様式美(閑人亭日録)

朝、きょうが最終日の展覧会へ行く?と訊かれた。午後の用事の前に見に行くことはできる。友だちはスマホを寄こして、会場の写真を見せた。絵は、いかんなあ、ジャクソン・ポロックのものまね、亜流だ。行かないと答えた。会場で画家に感想を言えないわ。デ…

線描 描線(閑人亭日録)

線描と描線。どう違うのか。ネットで検索。 線描=線だけで、物の形を描き出すこと。また、その絵。 描線=かたちをえがいた線。 最も簡明な定義を引用した。なぜこの違いにこだわるのか。その昔、上條陽子さんの簡潔なデッサンに一目惚れして購入した。ネッ…

味戸ケイコさんからお手紙・続き(閑人亭日録)

昨日紹介した味戸ケイコさんからのお手紙の、絵についてのお考えに、あらためて深く同感。絵だけでなく、美術作品全般に通じることだと思う。作品を「見つめ心にとどめてくださる方たちによって完成する」は、至言だと思う。買い込んで死蔵するのではなく、…

味戸ケイコさんからお手紙(閑人亭日録)

味戸ケイコさんからお手紙が届く。北海道立函館美術館で開催中の味戸ケイコ展 https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/hbj/exhibition/program/199に合わせて、北海道新聞の、四回にわたるインタビュー記事のコピーが同封されている。一回目の記事から。《 …

段ボールの中の本(閑人亭日録)

数日前、四十年を超えた網戸の交換と張替えを業者に依頼。三階の掃き出し窓の網戸は、上部が戸棚で、下は四十五センチほどの空間の先。その空間に本の詰まったダンボール箱がぎっしり詰まっていたので、後日に見ることに。今朝、時間が空いたから行きましょ…

腰掛ける台(閑人亭日録)

昨晩、靴を履くときに腰掛ける台を作って、と頼まれた。まず浮かんだのは、まな板ほどの大きさの板に、腰掛けるのにちょうどいい高さに切った縦板を付ける。簡単な作業だ。大きさが決まればオッケー。でも板をホームセンターに買いに行かねばならない。板だ…

地動説(閑人亭日録)

昨日の本を回想していて、地動説という言葉がふと浮かんだ。天動説から地動説への大転換。出版社の、半世紀ほど前の静かに漲る情熱が、装丁、造本からひしひしと伝わる本たち。その熱気は今もじつに熱い。と書くと、そんな時代もあったな、暑苦しいだけだろ…

過ぎし時を回想する秋の午後(閑人亭日録)

時折小雨の降る秋の昏い午後、午睡から目覚めてふと昔、若い頃の読書を回想。高校から大学にかけてその一部。 『異端の肖像』澁澤龍彦 桃源社 昭和四十二年五月十日発行 『万延元年のフットボール』大江健三郎 講談社 昭和四十二年九月十二日発行 『神州纐纈…

時の過ぎ行く秋の時(閑人亭日録)

鮮やかな秋の朝の光。透明な、澄み切った空気を突き抜けて目に届く眩しいひかり。眼が悪いのかな、と思ってしまう。目薬は朝、両眼に点滴しているが。ま、錯覚、思い過ごしだろう。 眼科の女医さんの言うことをきいていればよい。まあ、秋を実感する朝だ。少…

『流れ酔い唄』(閑人亭日録)

慌ただしかった一日が夕暮れを迎え、やっと一息つき、ふっと山崎ハコの歌声を無性に聴きたくなった。黄昏の空を眺めていて、A面二曲目の「罪」がふと浮かかんだ。 LPレコード棚から『流れ酔い唄』キャニオン・レコード1978年を抜き出す。これを聴くのは今…

孤独な思考と試行(閑人亭日録)

1997年6月1日、K美術館を開館。味戸ケイコさんと北一明の作品の常設展示館。それだけでは話題が乏しいので、いろいろな企画展を試行した。 2000年、ネット検索では、木版画絵師・小原古邨は、たった18件。現在、約375,000件。2002年、「小原古邨と周辺展」…

寝ぼけとボケ(閑人亭日録)

内野まゆみ展の疲れが今頃出てきたよう。寝ぼけるわ、買いものから帰宅して狼狽するわ。紅茶を買うはずだったが、コーヒーの棚の包装の日付を見て、きょうは見送り~。紅茶を買うのをすっかり忘れた。へえ~、こんなものも売ってるんだ、と試しに買ったパン…

「重ねと響き」(閑人亭日録)

一昨日の椹木野衣(さわらぎ・のい)氏もそうだが、白い長机を□の形に並べて配された千個の小さな立体作品をみなさん、何周もされて迷い迷い、一箱に収める四個を選ばれる。これほどに迷われるとは。傍から見ていて可笑しくてかわいらしくて、内野さんと二人…

「古人の忘れもの」展五日目最終日(閑人亭日録)

白砂勝敏さんたちが来廊。賑やかに盛り上がる。椹木野衣氏が昨日来たことを知り、会いたかったと残念がる人たち。最後に来たご婦人は、娘さんが大学で椹木氏の授業を受けている、と仰る。(こんなところに来たとは、と)驚いて娘さんに電話するも繋がらず。…

「古人の忘れもの」展四日目(閑人亭日録) 

展示時間と同じ、午前十一時から午後四時まで、ここは歩行者天国。賑やかな正午、内野まゆみ個展「古人(いにしえびと)の忘れもの」展会場へ、多摩美術大学教授、現代美術評論家の椹木野衣(さわらぎ・のい)氏が来廊。我が家の隣の料亭登喜和で昼食。我が…

「古人の忘れもの」展三日目(閑人亭日録)

午前七時。すっきり目覚め。紅茶を淹れる。どんより厚い曇からまた降り出す。雨脚が強くなる。 午後、降ったり止んだりの雨のなか、ポツポツと来客。接客(疲れる~)。閉廊時間を遅らせる。いろいろ楽しんでくれたからいいか。くたくた、だけど満足。

「古人の忘れもの」展二日目(閑人亭日録)

74歳の誕生日。ここまで生きるとは。晴天。これからは余生…か。ま、それは先送り~。 「古人の忘れもの」展二日目、静かに閉廊。昨日同様、ほとんどが女性客。皆さん、熱心に小さな作品に向かい合っている。そして選ぶのに、楽しく迷っている。終わってみれ…