2024-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『現代の美術 art now1先駆者たち』六(閑人亭日録)

「現代美術への道」、高階秀爾「新しい芸術の胎動──第一次大戦まで」を読んだ。《 ルネサンス以来四百年間にわたって生き続けてきた人間中心的な写実主義の世界は、印象派による光の導入という事件によって、まるでトランプのお城のように崩れ去ってしまった…

『現代の美術 art now1先駆者たち』五(閑人亭日録)

『現代の美術 art now1先駆者たち』、中原佑介「4 自然からの訣別」。《 というより、第二次大戦後にみられる現代美術の動向が、立体派のもつそうした先駆的意義を改めて発見させたのである。1961年、ニューヨーク近代美術館で開かれた「アセンブリッジ展…

『現代の美術 art now1先駆者たち』四(閑人亭日録)

『現代の美術 art now1先駆者たち』、中原佑介「3 夢と幻想」。《 しかしながら非現実的あるいは幻想的なイメージは例外的なもの、特殊なものとして美術史の片隅に追いやられてきたのだった。そして今世紀になって、初めて夢や幻想の織りなす世界が美術の…

『現代の美術 art now1先駆者たち』三(閑人亭日録)

『現代の美術 art now1先駆者たち』、高階秀爾「2 表現から抽象へ」。《 現代芸術の大きな特質のひとつである国際化の現象は、20世紀になると同時に、まずヨーロッパ諸国のあいだで顕著に見られるようになった。いや実はそれは、19世紀末から20世紀初頭に…

『現代の美術 art now1先駆者たち』二(閑人亭日録)

『現代の美術 art now1先駆者たち』、高階秀爾「1 人間像の系譜」。《 しかしながら、〈アヴィニョンの娘たち〉の持つ歴史的意味は、おそらくキュビズム(注:立方体主義)との関係のみに限られるものではない。歴史の里程標となる多くの名作がそうである…

『現代の美術 art now1先駆者たち』(閑人亭日録)

『現代の美術 art now 1先駆者たち』(高階秀爾 中原佑介 編)講談社1971年11月20日第1刷発行(第8回配本)を開く。高階秀爾「はじめに」。《 第二次大戦後の世界の美術は、これまでの歴史にかつて見られなかったような多様な変貌を示している。 》6頁《「…

『現代の美術 art now』(閑人亭日録)

1970年代初頭に講談社から出版された全12巻別巻1冊からなる『現代の美術 art now』が手元にある。全巻の題名。 1 先駆者たち 2 幻想と人間 3 情念の人間 4 ポップ人間登場 5 つくられた自然 6 主張するオブジェ 7 集合の魔術 8 躍動する抽象 9 構成…

『全集・現代美術の発見』(閑人亭日録)

午前3時22.9℃。ふっと目が覚めた。ベランダに出て涼しい夜風を受けていると、一つのアイデアが浮かんだ。 1967年から刊行が開始された『全集・現代文学の発見』學藝書林という全16巻別巻1冊の全集がある。全巻の題名。 1 最初の衝撃 2 方法の実験 3 革…

百年後の美術史(閑人亭日録)

昨日の引用、《 文学史というものが、そういうものを中心にまとめられていったので、そうではないものは大衆文学として切り捨てちゃったんだね。 》 は、文学史を美術史に置き換えても十分通用すると思う。これ以上は深く書かないが、私が評価し推している作…

『雨の日はソファで散歩』再読三(閑人亭日録)

午前三時、目が覚める。やや涼しい。書斎で 種村季弘『雨の日はソファで散歩』を少し読む。「文明開化とデカダンス」。《 公務やビジネスの場のように、そこでなければならないという場所ではないから、場末の歓楽街は夢のなか以外のどこにも存在しない、エ…

『雨の日はソファで散歩』再読(閑人亭日録)

種村季弘『雨の日はソファで散歩』筑摩書房2005年8月25日 初版第1刷発行を本棚から抜くと、木口に付箋。あれ?読んだかなあ、と本を開くと「謹呈 著者」の紙片。そうかあ。とてもありがたい。桑原茂夫「あとがき」冒頭。《 本書は、今は亡き種村季弘さんが自…

『徘徊老人の夏』二(閑人亭日録)

種村季弘『徘徊老人の夏』ちくま文庫二〇〇八年七月十日 第一刷発行を読み進める。「プリクラ」。《 下町にはむかし駄菓子屋というお店があって、そこでは駄菓子が平面に並んでいるだけでなく、鍾乳洞のように狭い空間にメクリが上からぶら下がっていたり、…

『徘徊老人の夏』(閑人亭日録)

種村季弘『徘徊老人の夏』ちくま文庫二〇〇八年七月十日 第一刷発行を少し読んだ。題名からして昨日読了した中村真一郎『人生を愛するには』とは違う。中村真一郎が知識人や碩学の人といったエリートたちとの交友、交遊関係に生活の大半があったのに対し、種…

『人生を愛するには』四(閑人亭日録)

中村真一郎『人生を愛するには』、最終章「XII 死後の生について」を読んだ。《 もうひとつ、耐えがたく厄介なことは、私にはこの半世紀以上のあいだの、それぞれ異なった時期に、「唯一の人」として交った女性の数が少なくとも十人はいる。 》232頁 いやあ…

『人生を愛するには』三(閑人亭日録)

中村真一郎『人生を愛するには』、「IX 友情のさまざまについて」を読んだ。何とも多才な友人たち。一例。《 私の友情の点で、やはり大学時代にはじまり、生涯つづき、私の王朝文学研究のための生き証人となってくれた貴重な友人は、元伯爵坊城俊民だった。 …