チョコレートチョコレート

 昨夜はアントニイ・バークリー「毒入りチョコレート事件」創元推理文庫を読んだ。六人のマニアによる殺人事件の犯人当て推理が興味深いが、本筋とは関係ないこんな箇所が記憶に残った。
「世間の人間の記憶はいたって早く消えるものだが、世間の人間の偏見というものは、これはまたいたって永く残るものである。」9章
 チョコレートをつまみながら読んでついつい食べ過ぎ、読後の満足感と食後のむかつきが同居。バレンタインだから読んだわけではない。米澤穂信愚者のエンドロール」の「あとがき」に「本作はバークリー『毒入りチョコレート事件』への愛情と敬意をもって書かれました。」とあり、こちらをまず読まねば。

 きのうは春一番。きょうの強風は春二番? 桜の若木に数輪の花が咲いていた。
 強風なんか吹っ飛ばせ、でブックオフ長泉店までお散歩。鹿島田真希「六○○○度の愛」新潮社2005年初版帯付、柴田元幸「バレンタイン」新書館2006年初版帯付、筒井康隆「愛のひだりがわ」新潮文庫2006年初版、計315円。「バレンタイン」、巻頭の表題作と巻末の「ホワイトデー」を読む。タイムスリップ小説だ。「ホワイトデー」の
「以前は、彼にチョコレートをくれる奇特な女性たちのために、音楽テープを編集したり、」
 にギクッ。昨日チョコレートを郵送で贈ってくれた大阪の古い知人にこれからお礼の手紙を認めるのだけれど、彼女に編集した音楽テープを送っていた。数年前、大阪の駅で再会し、彼女の車に乗った時ステキな音楽が流れていた。「いいねえ」と言うと「あなたがくれたテープよ」。