ここにいる

 昨日の朝は夏空だったけど、今朝は梅雨空。
 昨夕は市川直二郎氏、八月に写真を出品する女性と美術館の玄関に座ってくつろぐ。二人はタバコぷかぷか。三人で黄昏てゆく景色を眺めていた。こういう時間ていいねえ、と三人うなづく。ぱらぱら降ってきた小雨も心地よい。こういうユルイ集まりをしたいねえと三人。それぞれの青春を思い浮かべていたような。

 昨夜はNHKBS2でアニメーション「ほしのこえ」を視聴。市川氏が話題にしていたもの。ガンダムだかそんなものを好きな人はハマルかもしれない。宇宙の彼方へ飛行していった少女と地球で暮らす少年の淡い恋心。二人を結ぶものはケータイ電話のメールのみ。彼女のメールが彼氏に届くのは八年後といった時間。愛が届くまでの遙かな時間距離。それが切ないといえば切ないが。私の人生時間からすれば、十年は当たり前。
 昨日の午後、東京自由が丘の奥に住む令夫人から何年ぶりかの電話があった。この数年会っていないけど、こちらからは展覧会のお知らせを送っている。「ほしのこえ」の最後の場面の言葉「ここにいるよ。」と同様に。

 昨日の静岡新聞夕刊、鷲田清一「『渋さ知らズ』ライヴ」の記事。見出しは「華もたせ合う交歓の楽しさ」。
 「集団のセッションが楽しいのは、『こんどはあんたが主人公』というふうに相手を立ててやる、相手に華をもたせる心根に溢れているからだ。」
「支えられるものが支える側に回る、たがいに立てあう、そんな交歓。」
 そんな展示が、八月にできれば、と思う。

 ブックオフ長泉店で二冊。木田元・編「現代思想フォーカス88」新書館2001年初版帯付、佐藤多佳子「ごきげんな裏階段」理論社1992年初版帯付、計210円。