解説を読む?

 今朝の空気はいつもより濃く感じる。梅や河津桜、エリカの花が空気を濃く感じさせるのかもしれない。

 毎日新聞昨夕刊、「赤瀬川原平の散歩の言い訳」は東京国立近代美術館を訪問。企画展「わたしいまめまいしたわ」では「会場には案の定、目まい絵がたくさんあった。」
「各テーマごとに解説があるが、理屈、というか理論ばかりが積み重なって、これもストレスの温床なので避ける。」
「いつも思うことだが、どの美術館でも企画展だけで帰らず、ぜひとも常設展をおすすめしたい。」
 同感。回文「わたしいまめまいしたわ」から、「散歩の言い訳」は「良いわけ」にかけてあることに気づいた。

 大竹伸朗「既にそこにあるもの」ちくま文庫2005年から。
「画家とか彫刻家、美術家、造形作家、どう呼ぼうがどうでもいいが、そう自ら名乗る人間にとって、作品制作における、"意図"とは一体何なのだろう。意識的な制作意図をどこかしら超える瞬間のないものは、もはや"作品"とは呼べない。僕はこの"作品"と意図" の関係が今でも不思議でならない。」59頁
 作品の意図を超えた(違った)ことを指摘(解釈)すると、そんなことを表現していない、とご機嫌斜めの作者がいる。作者の意図を認識し、その上で彼が意識しなかったことを洞察(深読み)するのが、鑑賞者(批評家)の役目だと思うが。大方の美術評論家の鑑賞は作者の意図の理解で止まっている。すなわち通説、既にある知識によりかかった鑑賞。

ブックオフ長泉店で二冊。斎藤美奈子「趣味は読書。」ちくま文庫2007年初版、ブルーノ・タウト「忘れられた日本」中公文庫2007年初版、計210円。