カワイイ和風

 昨日取り上げた山口昌伴「和風探索 にっぽん道具考」の便器。
「女性の小用がしゃがみ式が正しいとされたのは近代日本のセンスで、欧米も含めて立ちしょんのほうがむしろ正統であった。」
 へえ〜。そしていまや「トイレ空間全体がその家の女性支配者の手芸展示場と化しつつある。」
「女手のふんぷんたる装飾のほどこされた便器は、客たる外所者の使用をひるませるまでの私物化の形相を見せている。トイレ空間の女性化現象。それも世界に類のない新日本型といってよい。ほんとの和風は、客人を恥じさせない公用の、婦女子の使用を想像させないまでに威厳にみちた男文化の風景であった。」
 黒電話機にカバーを付けるのが流行ったけど、便器を飾り付けるのが流行っているのか。そういったものを「かわいい」新日本型と呼ぶ……か。和風の美からカワイイ和風へ。その嚆矢が、ケータイ電話へのデコレーションだろう。ビーズなどをケータイ電話にびっしり密着させる。アメリカのセレブ御用達なる女子を、NHKテレビ「東京カワイイTV 」で紹介していた。

 ブックオフ長泉店で三冊。姫野カオルコ「コルセット」新潮社2006年初版帯付、高橋啓之「ハローキティの歌舞伎と日本舞踊」2001年初版、「シリーズ20世紀の記憶 冷戦・第3次世界大戦 1946 -1956」毎日新聞社2000年初版、計315円。
 「ハローキティの歌舞伎と日本舞踊」は、貸したきり戻ってこないので買い直し。愉快でタメになるこの本、おお、カワイイ和風だ。