立冬

 立冬。でもなんか温い陽気。昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。松浦理英子「犬身」朝日新聞社2008年3刷帯付、山田正紀「僧正の積木唄」文藝春秋2002年初版、計210円。二冊とも贈呈用。前者の帯に読売文学賞受賞の惹句。昔は文学賞に興味があったけど、二十一世紀になって興味をすっかり失った。純文学という分野に関心が薄れた。純美術=ファイン・アートとも現代アートとも呼ばれる分野も同じ。二〇世紀末にはまだ関心があったけれど。今は正体を見たり、という気分でもある。二十世紀の美術を牽引、席巻したと聞く現代アート、前衛芸術なるものは、美術遺産なのか、それとも目新しさだけが売りのゲージュツ廃棄物なのか。産業遺産、世間遺産ならすごく興味があるけど。

 太田忠司お気に入りシリーズ、坂口安吾「舞踏会殺人事件」(「明治開化 安吾捕物帖(上)」六興出版1983年収録)を読んだ。ふうん。これは「日本探偵小説全集 10 坂口安吾集」創元推理文庫でも読める。これに収録されている短篇「アンゴウ」がいい。