三冊の戦争を巡る

 八木忠栄句集「身体論」砂子屋書房2008年から。

  わがこころわが身に吊るし去年今年

  雪降るや有季定型疑わず

  春隣蕎麦屋閉店挨拶状

  梅雨明けて出刃包丁の刃を舐める

  青すだれ女ゆつくり割れてくる

  八月が棒立ちのまま焦げてゐる

  原爆忌弟よ詩集叩き売れ

 楠見朋彦「塚本邦雄の青春」ウェッジ文庫2009年から塚本邦雄の短歌。

  原子爆弾官許製造工場主母堂推薦附避妊薬

  炎天ひややかにしづまりつ終(つひ)の日はかならず紐育にも!爆

 真鍋呉夫句集「月魄(つきしろ)」邑書林2009年、結びの一句。

  去年今年海底の兵光りだす

 この前来館された知人から箱根芦ノ湖美術館だけでなく、カシニョールの絵を常陳している伊豆一碧湖美術館も閉館したと教えられた。たしかに去年の五月に閉館していた。二つは同じ会社の経営。隣町の日本画の木村圭吾美術館は閉館後 IZU・PHOTO・MUSEUMに。こういう変更は珍しい。

 きょうの拾い物。

  今さっき母から来たメール

  かつあげ

  はじめていい?

  その改行はないだろ……。