「月魄」

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。高木彬光「人形はなぜ殺される」光文社文庫2006年初版、ド・クインシー「深き淵よりの嘆息」岩波文庫2007年初版、計210円。前者は大日本雄弁会講談社の元版(1955年)で読んでいるけど、これは≪著者の校正用初版本の加筆訂正を採った決定版。≫とあるので。

 真鍋呉夫句集「月魄(つきしろ)」邑書林2009年初版を読んだ。初読で気に入った句を少し。

  けさ秋や水の中ゆく水の色

  密會のひと夜しろがねなす早瀬

  山ざくら空にも深き淵のあり

  この世より突きでし釘よ去年今年

  衣擦の音のとだえゐる淑氣かな

  姿見にはいつてゆきし螢かな

 詩歌は門外漢なので以下は勝手な想像。上記「この世より」に高浜虚子の名句「去年今年貫く棒の如きもの」を連想するのは私一人ではあるまい。ほかの句にも虚子の句を連想させる俳句がある。

  白牡丹といふといへども紅ほのか  虚子

  白桃や神の刷きたる紅(こう)仄か  呉夫

 きょうの拾い物。

ピカソも死んだ、シャガールも死んだ、 そしてダリもいなくなった。≫