「反アート入門」

 昨夕、「ゲゲゲの女房」観て、八月からの企画展を「水木しげると『ガロ』の作家」展に急遽変更。自宅にある『忍法秘話』『ガロ』、水木しげるの貸本漫画、復刻漫画、つげ義春の貸本漫画からつりたくにこ林静一らの『ガロ』関係の作家たちの、初期の青林堂から出た単行本などを一挙展示することにした。ついでに1960年代後半〜1970年代初頭の熱かった時代をうかがわせるジャズ喫茶のマッチや雑誌、ガリ版刷りのアジビラなども展示予定。「ガリ版刷り」なんて死語だなあ。

 椹木野衣(さわらぎ・のい)『反アート入門』幻冬舎を読了。最後までバリバリに刺激的だった。「アート入門」ではなく「反アート入門」。この違いはじつに大きい。というよりも真逆だ。そして根底的だ。腰のふらついている美術界に雷鳴が轟いた? 雷鳴だけでなく落雷になるか。

≪だから、これまでわたしたちが追ってきたアートの主要な動きはいまここで、もう一度相対化されなければなりません。≫ 141頁

≪いまある市場では、ある作品にまつわる「信用」さえ獲得できれば、それが旧来の水準ではどんなに取るに足りないものであっても、「芸術的な創造性」とはまったく関係なく、高額で売買されるようになったのです。極端な話「まったく取るに足りない絵」の意味が批評的に担保され、市場での注目を集めれば、それが一種のトレンドとなり、爆発的に人気を博する可能性も十分ありえます。流通のメカニズムにとって芸術的な創造性とはなんら関係がないのだから、いっそのこと対象はなんでもよいのです。問題は市場での関心をいかに得るかにあり、そのためには批評は一種のキャンペーンとして有効に機能します。≫194-195頁

≪各人みずからの孤生と向き合うことの厳しさと甘美さは、これからの時を経て、さらに増していくにちがいありません。そんな生の条件がアートの世界にも到来することを予感しつつ、その機が熟するのをわたしは切望しているのです。≫305頁

≪生真面目さや形式ばかりの社交から解放され、死と笑いを重視し、わたしたちの生を根本から見直すような芸術しか、要らなくなるのではないか。≫「あとがき」より

 ワールドミュージック町十三番地 で旧ユーゴスラビアの歌手CECA(ツェツァ)を紹介していた。今もよく聴く「バルカンの暴走女王」の経歴を初めて知った。へえ〜。「アラブ〜バルカン〜東欧〜ロシアをつなぐ音楽界の”エロ・ビジュアル・ブラッドライン”」。You Tube の画像を観れば、誰もが納得だろう。しかし、お手合わせは願い下げ。

 ネットの拾いもの。有給休暇。

≪なにも理由が無いのに休むなんて休んでる間、

 一生懸命働いてる皆に申し訳ないと思わないの?

 って言われたことある。

 有給とは言わん、無給でいいから休ませてくれ 。≫