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 鮎川哲也『サムソンの犯罪』の感想は明日に(多分)。

 「横丁の名探偵」、10日の日記から。

≪十河国鉄総裁と島技師長は東海道新幹線の必要性を確信していたのですが、まともに建設費用を計上したら大反対の上で却下されるのは目に見えてました。そこでわざと費用を低めに計上したわけです。
 結果的に建設にかかった費用は(十河総裁と島技師長の想定通り)数倍に膨れ上がり、責任を追及されて二人とも開業前に解任されます。そのため二人とも出発式に呼ばれることはありませんでした。
 今では東海道新幹線の必要性は誰もが認めるところですし、もしあの時出来上がらなかったら果たしてその後の日本はどうなっていたのか、想像もできません。
 このように日本の年表を紐解いても決して脚光は浴びていない代わりに、脚光を浴びた人よりも遥かに日本の発展に貢献した人はいるわけなのですよねぇ。≫

 同感。山口昌男は、こういう人たちに光を当ててきたと思う。昨日、着物を召した女性に明治の美術雑誌『国華』の木版画や小原古邨の木版画をお見せしたところ、心からびっくりされた。「これが木版画ですか?」と、拡大鏡でご覧になっても信じ難い表情。それが美術史から無視されていることに不思議がっていた。