複合する影

 日本画家の大場茂之氏が来館。実家が石巻。実家は被災したけれども、家族は無事だったと。よかった。

 武田邦彦原発関連のブログを読むと、政府、マスコミが如何にヘンか、よくわかる。

《 一体、わたくしたちが税金を払い、雇っている原子力安全・保安院の院長及びそこで働いている高級官僚は何をしていたのでしょうか。》4月24日

《 保安院というところがなければ、国民は直接電力会社の作る原発の安全性を見ますから。まだある程度はチェックできるのですが、保安院が代わりにやると言っているので任せるとこのようなことになります。》4月24日

《 「1年1ミリ」は武田説でもなんでもなく、国際勧告と国内法で定められている数値です(1年1ミリは人、3ヶ月1.3ミリは場所で実質的な内容は同じ。)

なにしろ、国際勧告や国内法で「日本人の健康」を決めるのですから、膨大な研究データやチェルノブイリなどの詳細な報告に基づいて決めていることです。だから私はその根拠を特に示すことを止めています。》4月25日

《 ところが、3月12日、福島原発が破壊した途端、専門家は神となり、公務員は法律を捨てました。今では、彼らは必死で「日本に法律の規定がある」ことを隠そうとしています。》4月25日

《 外国の記者を相手にした保安院と東電の会見には、最近、記者1人、説明側10人ということが続いたが、4月25日、ついに誰も記者は来なかった。》4月26日

《 海外では福島原発の事故についての関心は強い、関心が強いので、保安院や東電の記者会見に出ても、ウソを教えられるので、聞いても意味が無いのだ。》4月26日

 「歩く人災」「歩く風評被害」は首相一人ではない。複雑に複合した影は深い。

 津村秀介『影の複合』祥伝社ノン・ポシェット文庫1998年4刷を読んだ。

《 私がアリバイ崩しにこだわるのは、鮎川哲也氏によって推理小説を知ったせいだろう。》

 「あとがき」冒頭に記す津村秀介の、推理小説執筆一本の生活に入った1982年の第一長編ミステリ。裏表紙の紹介文から。

《 同日同時刻に、愛媛県松山市と東京で二人の女がそれぞれ全裸で絞殺された。が、二つの現場から犯人と思われる同一人物の指紋と体液が採取され、しかも捜査線上に浮かび上がったその有力容疑者は、事件当夜上野発青森行L特急「はつかり11号」の車中にあた!立ちはだかる鉄壁のアリバイに、捜査陣の苦悩は深まる…。》

 なかなか読ませる。二重三重によく考え抜かれたトリックに拍手。惜しむらくは人物造型にいまひとつ深みが足りない。

 ネットの拾いもの。

《 お見合いで言ってはいけない言葉。

 女「あの、今一番気になる事ってなんですか」

 男「君の素顔」》