法月綸太郎(のりづき・りんたろう)『誰彼(たそがれ)』講談社文庫1992年初版をワクワクして読んだ。本格ミステリ。裏表紙から。
《 謎の人物から死の予告状を届けられた教祖が、その予告通りに地上80メートルにある密室から消えた!/ そして4時間後には、二重生活を営んでいた教祖のマンションで首なし死体が見つかる。なぜ首を奪ったか? 連続怪事の真相が解けたときの驚愕とは? 》
あまりよろしくない紹介文だ。二転三転四転する犯人像。そしてドンデン返しの真相。面白かった。
《 「気が利きませんことね。ライターぐらい、持ってないの?」
「火事の元は、持ち歩かないようにしているんだ」 》164頁
《 「まあ聞け。本格推理小説と社会主義の、現代における共通点は何だか知ってるか?」
「何だ、それは」
「本気でそんなものと取り組んでる連中は、救いようのない馬鹿ばかりってことだ」 》222頁
有栖川有栖『有栖の乱読』メディアファクトリー1998年初版、第二部「有栖が語るミステリ100」の90番がこの『誰彼』。
《 実際この作品に見られる本格ミステリとしての凝縮度には、尋常でないものを感じます。 》
ところで、本に挟まっている広告だけど、これには「結婚情報」のチラシ。にこっと微笑んでいる若い女性、誰だろう。もう一つ、「講談社文庫名作選'92秋」。アーウィン・ショー『夏服を着た女たち』、中井英夫『虚無への供物』が、うれしい。
ネットの見聞。
《 ミステリをあまり読まずに居たけど、視界がぐわっと広がるように読書の楽しみ方が変わった。 》
《 ところで、理科系と文科系がハッキリ分かれている国は少ないが・・・ 》
ネットの拾いもの。
《 入札って、札幌に入ることだったのか! 》
《 ……ちくしょう、どうして私はあのとき買っておかなかったんだ。数百円だったじゃないか……。》
と後悔しないために、ダブリかも知れない105円本に手が伸びる。数百円だったら、当然スルー。