魅力あるモノ

 リストラをしている日本の某大手企業について、

《 明確な成長シナリオを描いて実行していかなければ、ジリ貧が続くのみだ。 》

 という評価がある。そんな明確な成長シナリオってあるのだろうか? 考えつくあらゆる手を打って、その失敗、成功から次の手を考える。事業とはそういうものだと思う。国策会社ならいざ知らず。その国策会社にしたって、東電の体たらくを見れば、高が知れている。

 それはともかく。業績悪化の原因はただ一つ。魅力あるもモノを創出できないからだ。もの作り大国日本と自負しても、そのモノが魅力を欠いては駄目。魅力あるモノ、とは。おとといきのうと、源兵衛川を案内した。川は規模からいえば、まるで大したことはない。それでも全国から視察にくる。ここに打開のヒントが潜んでいると思う。

 魅力あるモノは五感に深く訴え、脳に知的刺戟を与える。惹かれる世界がふっと開かれてくる快感。それは、きっちり定義しようとする言葉から、ふっとすり抜けてしまう。

 芸術作品と呼ばれるモノは、そういうモノだと思う。名作、古典と呼ばれるモノは、惹かれる世界がいまだに(!)ふっと開かれてくるモノ、だと思う。

 魅力あるモノのひとつ、平松洋子『買えない味』筑摩書房2007年3刷をパラパラと再読。

《 さて、オトナの夏ともなれば、アイスクリンの代わりにハイボールである。 》78頁

 うーん、味わったことがない。

《 旬がいいのはあたりまえ。勝負は旬が過ぎてから。ただし、熟れるか腐るか。明日はどっちだ。 》81頁

 明後日の私は……。

《 米は冷えてから味がわかる。貯金は減ってからありがたみがわかる。 》86頁

 しみじみわかる。

《 捨てたいのに棄てられないのは、なにも腐れ縁の宿六や愚妻ばかりではない。 》186頁

 この古本、どうしよう。知人女性に贈ろう!

 ネットの見聞。

《 芸術家は「作品」を完璧に作り上げようとするけど、「商品」は実は完璧で高いものって本当は本質を外している。消費者がどれだけそれを求めているか。それを見極めるのがビジネスだし、バラスよく折り合いをつけるのがエンジニアリング。  》

 ネットの拾いもの。

《 オスプレイの墜落原因が操縦ミスと発表されたので、オスプレイへの要求に「操縦ミスしても墜落しない」が追加されます。 》

《 ♪ 君のゆく道は〜限りなく暑い〜 》