反哲学入門

 昨日行ったMOA美術館でもらってきたパンフレットに町田市立国際版画美術館の企画展「静かな詩情 銅版画の色と光」がある。長谷川潔がないのは、黒一色のせいか。手彩色作品ではだめなのか。しかし、墨に五彩ありという。画龍点睛を欠くような。長谷川潔の銅版画は「静かな詩情」とはかなり違うのかもれない。町田市在住の坂東壮一も入っていない。やはり「静かな詩情」を通り越した深い問い掛けのせいか。

 木田元『反哲学入門』新潮文庫2012年6刷を読んだ。じつにスリリング。平明な語りだけれども、内容は根源的に深い。木田元の著作はいくつか読んでいるけれど、今のところこれが最も興奮させる。三浦雅士の解説冒頭。

《 木田元著『反哲学入門』はまぎれもない名著です。 》

《 『反哲学入門』の特色を一言でいえば、西洋の思想の歴史、とりわけその根幹であるいわゆる哲学の歴史が、鷲づかみにされていることです。 》

《 それにしてもこの単刀直入の指摘は人の度肝を抜きます。腑に落ちすぎて、深く考え込ませます。 》

 そして三浦は書く。

《 つまり、日本の近代思想はいったい何であったのか、あらためて深く考えさせてしまうのです。 》

 木田元『反哲学史』を再読しようと思っていたが、これも再読が必要。腑に落ちた、というより目から鱗が落ちた、という読後感。ワクワクさせる著作だ。じっくり再読したい。それから、ここから先は構想だが、松岡正剛『花鳥風月の科学』と読み合わせてみたい。発想と思索の目指すところが近い気がする。また、木版画絵師・小原古邨と洋画家・安藤信哉の作品に共通するものを見出す……。古い、が、新しい世界観……。

 デトロイト美術館にはヘンリ・フュスリの名画『悪夢』があるのか。デトロイトを象徴しているような。

 ネットの見聞。

《 デトトロイトには未来がある。 》 椹木野衣

《 「法人資本主義」とは奥村宏さんの言葉ですが、まさに正鵠を射ています。企業が、金で政治を買い占めるような状況が生まれつつある。民営化、規制緩和、成長戦略、すべて大企業にとって好都合な政策。結果として競争力を持たない、小規模企業は生き残れなくなり、地域経済も選択と集中に晒される。 》 平川克美

《 【東京タワー蝋人形館追記】蝋人形館のスタッフの話によると、あくまで“東京タワー”での営業が9/1で終了ということです。ですから、他の場所で営業再開する可能性もあります。ただ現時点では今後はまったく白紙の状態だそうです。 》 ほいじんが

 東京タワー、行ったことがない。

 ネットの拾いもの。

《 今日のネット広告。「最近、亭主がすごくて…」と和服熟女が晴れやかな笑顔。うん。こういう広告なら許す。 》

 ネット記事「炎のストッパー」を「炎のストリッパー」と空目。