Rのつく月には気をつけよう

 温い朝。蒲団から出たくなくなる。冬服と春服が混在している我が家。晴天で強風。富士山が霞んでいる。花粉だらけだろうな。

 石持浅海(あさみ)『Rのつく月には気をつけよう』祥伝社文庫2010年初版を読んだ。

《 長江と熊井、そしてわたし──湯浅夏美は大学時代からの飲み仲間だ。 》 「Rのつく月には気をつけよう」

 わたし=湯浅夏美が語り手となって、長江高明のワンルームマンションで熊井渚と三人の宅飲み会に一人を招き、その人の話す食べ物にかかわるちょっとした出来事から、当人も気づかぬ意外な真相を見抜く、という趣向。さらっと楽しめる充実の七編。スッキリした読後感。

《 シングルモルト・ウィスキーと生ガキ、ビールとお湯なし(!)チキンラーメン。白ワインとチーズフォンデュ泡盛と豚の角煮。日本酒とぎんなん。ブランデーとそば粉のパンケーキ。シャンパーニュとスモークサーモン。七つ、いわば虹色のとりあわせ。 》 田中芳樹「解説」

 どれも食べたくなって困る。インスタントラーメンはある。

《 「個人名を出すと差し障りがありますから、仮名にさせていただきます。先輩社員で家主のコンブさん。奥さんのワカメさん。わたしと一緒に押しかけた、男性社員のヒジキさんと女性社員のメカブさん。それからわたしの五人です」
  カロリーの低そうな面々だな、と熊井がくだらないコメントをした。 》 「Rのつく月には気をつけよう」

 こういう小ネタ、好きだなあ。

 ネットの見聞。

《 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加をめぐり、先に交渉を始めた米国など九カ国が遅れて交渉参加したカナダとメキシコに交渉権を著しく制限した条件を課した事実に関し、民主党政権時代に日本政府が把握しながら公表しなかったことが新たに分かった。 》 東京新聞

《  TPPには人間を侮蔑するような精神に溢れている。ISD条項。ラチェット条項。スナップバック条項。NVC条項。4年間の「守秘合意」。知的財産権の米国による直接規制。これを第三の開国と呼んだ菅直人はよほど無知な男だが、このレベルの政治家によって、日本は身売りされようとしている。 》 兵頭正俊

《 (承前)木田元の『反哲学入門』は、本としてはかなり面白い本である。とくに蘊蓄はためになる。しかし人を哲学あるいは反哲学の実践へと引っ張っていく本ではない。木田は哲学を味わう人であって、哲学する人ではないということだろう。河合隼雄の本を読んで面白いというのに似たなにかだ。 》 森岡正博

 以前読んだ木田元の本は『反哲学史講談社だった。昔、河合隼雄の『ユング心理学入門』培風館の「10 心理療法の実際」を読んで心理療法士、無理無理、と自覚した。

《 自ら生きることの意味を求めて苦闘し、解決への努力を払っていないで、どうして他人の生きることの意味を見出す仕事に役立てることができようか。ここにおいて、たんに他人を治療するとか、他人をよくするとかいったことよりも、治療者自身の自己教育、その人格の発達ということが、治療の中心課題になってくるとさえいえる。 》 251頁

 ネットの拾いもの。

《 どうしよう、くしゃみと鼻水がとまらない原因不明の病におかされている。 》

《 患者「スギ花粉が大量に飛散しても症状が悪化しないんですけど。」 医者「ハウスダストが……」 》