「子どもたちの愉快な芸術祭」アート長光寺 Vol.1

 去年の暮れ,K美術館の最終企画展示となった風の子造形教室展が、来月早々お寺を舞台に催される。「子どもたちの愉快な芸術祭」。その案内葉書が出来上がる。場所は三島市の南隣、函南町長光寺。住職のご好意により、11月2、3、4日の三日間開催。面白いことになること、間違いない。

 昨日ベタな美術観を書いたきっかけは、《 藤圭子のジレンマ…素は明るいキャラなのに、歌手として演じ続けた「不幸」 》という記事を読んだから。彼女が「夢は夜ひらく」を歌わなかったら、私は藤圭子のレコードは買わなかった。この歌には藤圭子しか歌えない内実があった。そしてその歌は時代を象徴する歌になった。彼女の歌いたい歌とは真逆の歌が世人に歓迎された。
 絵とイラストレーションの関係に引き寄せると、自分の描きたい絵ではないイラストレーションを描いたから受けた。それは横尾忠則を連想させる。横尾のイラストレーションは内外で高く評価された。彼はイラストレーターから画家への転向宣言をした。そして今に至る。画家宣言から二十年ほどスランプだったと回想していたが、私に言わせれば、今もそうじゃないかい、だ。
 藤圭子横尾忠則。一人は好きな歌を歌えず、一人は好きな絵に邁進するが……。二人ともデビュー当時の輝きには及ばない。本人の魅力的才能は、本人の気づかないところに隠れているのだろう。優れたディレクター、キュレーターはそれを見抜く。

 そういえば、11日に買った山田正紀『チョウたちの時間』角川書店1979年初版の表紙は横尾忠則。1980年に出た角川文庫『チョウたちの時間』の表紙そして1981年の山田正紀孔雀王』角川文庫の表紙。それらの絵を見ると、画家宣言した理由はここにあるのかな。

 ネットの見聞。

《 ヤフオクに出品されていた『大阪圭吉作品集成』は 7753円で終了。 》

 こ、これが。盛林堂から四月十二日に三百部、文庫サイズで出た本が。一千円だったはず。金に糸目をつけない人は……いる。

《 LPレコードが生まれて65年、CDが生まれて30年 》

 レコードは百年は持つらしいけど、CDはどうなんだろう。