『十ニ人の抹殺者』

 イトーヨーカドー三島店へ買いものに行く途中、御殿川の橋の下をカワセミが飛んでいった。陽射しを浴びてじつに美しい。三島市の旧市街地を流れる農業用水路、西から蓮沼川、源兵衛川、四の宮川、御殿川そして桜川それぞれでカワセミを見た。ツバメ並みだ。

《 思い出したのだが、昔、飛天文庫から『12星宮殺人事件』ていうアンソロジー出てたよね。でもって天山文庫だったか、『十二支殺人事件』てアンソロジーもあった。星座はともかく、十二支って発想すごいと思った。 》 大矢博子

 本棚には山前譲・編『12星宮殺人事件』飛天文庫1998年3刷、天山文庫の山前譲・編『十二支殺人事件』1991年がある。他に『十二宮12幻想』(監修・津原泰水、解説・鏡リュウジエニックス2000年。昨日記したように、アンソロジーの類は本棚に置くにかぎる。すぐ見つかる。本棚には監修・津原泰水『エロチシズム12幻想』エニックス2000年も。

 輪堂寺輝『十ニ人の抹殺者』戎光祥出版2013年初版を読んだ。ニ家族の十二人に死の年賀状が届き、そのうち九人が密室で殺される。あわただしい連続殺人だ。もどかしい部分もあって傑作とはいえないが、貸本漫画のような雰囲気で面白く読めた。

《 第一の殺人は、三次元の密室殺人
  第二の殺人は、時間的不連続のトリック
  第三の殺人は、場所的不連続のトリック
  第四の殺人は、自殺的他殺のトリック
  第五の殺人は、二次元の密室トリック
  第六の殺人は、四次元の密室トリック
  第八の殺人は、逆密室ノトリック
  第九の殺人は、他殺的自殺的他殺のトリック  》

 第七の殺人は、第一の殺人同様、三次元の密室殺人かな。

《 決して完成度の高い傑作ではないが、本格ミステリ精神にあふれた愛すべき作品であるといえる。 》 日下三蔵

 一日付けの毎日新聞読書欄、上田誠吉『ある北大生の受難──国家機密の爪痕』花伝社の中島岳志の評を再読。

《 安倍首相は「罪に問われる場合、(情報を)取得した人自らが特定秘密だと認識していなければならない」と述べているが、「当人が秘密だと認識していたかどうか」を認定するのは捜査機関であるため、いくらでも恣意的運用が可能となる。秘密保護法案は、軍機保護法の再来に他ならない。 》

 その下の別の本の紹介記事から。

《 高度成長経済の傍らで失われた豊かな風景や時間を、 》

 失われたならば、また取り戻せばいい。源兵衛川を思う。

 ネットの見聞。

《 NHKはこの強行採決に至る秘密保護法審議は中継しないので、問い合わせたところ、国民の関心が低いからとの答え。ところが、参院インターネット中継はアクセスが多すぎパンク状態にもかかわらず。 》

《 「決められる政治」「ねじれ解消」といった言葉をメディアが無批判に垂れ流してきたことがこの状況を招きました。デモクラシーというのは合意形成に時間がかかるものであり、両院制とは一時の勢いで政体の大きな変化をもたらす法律を制定させないための制度なのだということを思い出して下さい。 》 内田樹

《 デモクラシーにおいて選挙結果はたいへんに重いということを今回僕たちは思い知らされました。法案に賛成した政党には二度と政権を委ねないという決意を僕たちはあらゆるレベルの選挙で投票行動を通じてあきらかにしてゆく必要があります。それがデモクラシーに対する敬意の表現だと思います。 》 内田樹

 ネットの拾いもの。

《 どうしてこうおバカばかりが政権をとるのか。もしかするとおバカでなければ政権をとれない国なのか。 》