きょうも切れ目なく来館者。女性ばっか。
霞流一『夕陽はかえる』早川書房2007年初版を読んだ。「あとがき」から。
《 それにしても、自分で言うのも何ですが、まことに奇天烈な作品世界が出来上がってしまいました。異様なしきたりの闇社会で、殺し屋たちが殺し合いを繰り広げる修羅の舞台、そこに不可能情況の殺人事件が発生し、殺し屋の探偵が調査に乗り出し、殺し屋たちの中から殺人犯を見つけ出そうとする。マラリア熱のように、決闘、秘密兵器、密室、ロジック、陰謀といったギミックのカオスが渦巻いています。》
謎とサスペンスの中で、小ネタの笑いが息抜きになる。
《「そうね。首吊りよりはマシよ、隣の住人としては。あ、あなた、金融関係の人?」
「いえいえ、借金取りではありません」
命取りですよ、とは口に出さなかった。》148頁
《 クリスマスということで休診の札をかけておいた。どうせ、患者の方もそう見込んでいるはずだ。せいぜい来るのは、前夜うっかり暖炉に落ちて火ぶくれしたサンタくらいだろう。放っておけば良い。》415頁
『夕陽はかえる』、『このミステリーがすごい! 2008年版』で9位。
《 まさに山風忍法帖の忍者たちと、五味康祐の剣豪小説を彷彿とさせる。》
一昨日話題の『ウサギの乱』は『このミステリーがすごい! 2005年版』では入札ゼロ……。『ウサギの乱』も遜色ないと思うのだけれど。私の好みは『ウサギの乱』。『夕陽はかえる』は参考文献に挙がっていた都筑道夫『なめくじに聞いてみろ』を連想。また、第一の不可能殺人(開かれた密室)のトリックは、『ミステリ・アンソロジー? 密室レシピ』角川スニーカー文庫2002年初版で霞流一が使ったトリックの二番煎じ。
ネットの拾いもの。
《 Google Mapで博多駅から宮崎駅への乗り換えルート案内を検索したら「飛行機乗れ」って言われます。それくらい鉄道で行くのがたいへんな県、それが宮崎。》