「 謀殺の弾丸特急 」

 山田正紀『謀殺の弾丸特急』徳間文庫1999年初版を読んだ。東南アジアの 架空の国、といってもカンボジアがモデルなことは一目瞭然。ツアーに 参加した自称国際ジャーナリストが軍事基地を夜、秘密裏に撮影し、軍から 追われる身に。ツアー参加者を巻き込んで、隣国タイへ、日本から渡った 古い蒸気機関車を奪って一目散に逃げるノン・ストップ・アクション小説だ。 一難去ってまた一難、ハラハラドキドキ息もつかせぬ早い展開。軍人VS. 民間人。見事な設定、筋運びだ。すごい。1986年のこの作品を、有栖川有栖 『有栖の乱読』メディアファクトリー1998年初版で推薦。

《 山田正紀が娯楽に徹したらここまで楽しませてくれるという一作です。/ 鉄道ミステリとしても絶品。 》

 その言葉に嘘はなかった。山田正紀の「後書き」が感慨を誘う。

《 この「謀殺の弾丸特急」もそんなふうにして取り残された作品の一つであって、 これまでついに文庫化される機会に恵まれなかった。私自身、好きな作品であるし、 それなりに出来のいい作品だと思っていて、どうしてこれが文庫にならないのだろう、 とそのことを残念に感じていた。 》

 それが上記、有栖川の推薦で文庫になった。また、斎藤美奈子『紅一点論』の 視点から見るとじつに興味深い。蒸気機関車で逃避行をするのは、男四人女三人。 紅一点ではない。老若男女それぞれの持ち場で現場力を発揮する。斬新だ。

 知人女性から葉書。彼女の娘さんの結婚した相手は私の初耳の近現代美術研究家。 著作を見ると実に興味深い研究テーマだ。美術のつながりは面白い。

 ネットの見聞。

《 オタク道については、「ニワカ笑うな来た道だ、古参嫌うな行く道だ」 という標語をぜひとも一般化していただきたい。 》 たられば

《 アベノミクスで日本のどこがよくなったのかわからない。 》 阿川大樹

《 どこかの党に選挙論戦の資料として、安倍の虚言リストを作ってほしい。筆頭は 「福島第一原発の汚染水はアンダーコントロール」だろう。 》 山口二郎