赤瀬川原平の著作は何冊も読んでいるけど、尾辻克彦の本は未読。尾辻克彦『父が消えた』 文藝春秋1981年初版を読んだ。芥川賞の表題作を含む五篇を収録。「父が消えた」、以前 読んだ気がしたが、なんとも地味な。芥川賞作はいくつか読んでいるけど、そういえばどれも 感動には遠い印象。新人賞だからそんなものか。谷崎潤一郎賞とは違う。読むなら谷崎賞。 去年、鮎川哲也賞、江戸川乱歩賞を除くミステリ新人賞、サントリー・ミステリー大賞、 横溝正史賞、「このミステリーがすごい!」大賞などの新人賞受賞作の多くを処分した。 近年の江戸川乱歩賞、芥川賞も処分候補だな。
「星に触わる」(1980年発表)の電話での会話の場面。
《 「プラスチックには悶えないね。金属には悶えるけれど」
「悶える」
「そう。金属には悶えたあげくにフェチになるけど。プラスチックは……」 》 106頁
「悶え」から「萌え」にはすぐではないかな。マリア四郎歌う『もだえ』を連想してしまう。
「自宅の蠢き」より語り手の大人と若い女性の会話。
《 「荷物なんて溜らないもの」
「いや、そうはいっても、やっぱりいつの間にかいろんなものが溜っていくでしょう」
「だっていらないものは棄てていくもの」
「いや、でもなかなか棄てられないものがあるでしょう」
「そお? だっていらないものとっておいてもしょうがないもの」
私は質問も反論も鈍ってしまった。 》 220頁
じっと周囲を見回す。本、本、本。今にも崩れそうに積みあがっている。棄てていい本は…… 今はない。
ブックオフ長泉店で五冊。宮部みゆき『小暮写眞館』講談社2010年3刷帯付、鮎川哲也 『早春に死す』光文社文庫2007年初版、佐伯泰英『ピカソ青の時代の殺人』ハルキ文庫1999年 初版帯付、『寺山修司詩集』ハルキ文庫2010年4刷、吉行淳之介『禁話のコレクション 秘蔵の本』 光文社文庫1990年初版、80円セール、計400円。『小暮写眞館』は贈呈用。『秘蔵の本』 「あとがき」より。
《 『光文社文庫』の創刊は、昭和五十九年九月十日である。(中略)そのころから世の中では 猥談の類ははやらなくなった。 》
ブックオフ三島徳倉店で七冊。加納朋子『ぐるぐる猿と歌う鳥』講談社ノベルス2010年初版、 佐藤和歌子『間取りの手帖』リトル・モア2003年4刷、石沢英太郎『五島・福江行』徳間文庫 1981年初版、歌野晶午『春から夏、やがて冬』文春文庫2014年初版、武田久吉(ひさよし) 『民俗と植物』講談社学術文庫1999年初版、講談社・編『東京オリンピック 文学者の見た 世紀の祭典』講談社文芸文庫2014年2刷、スティーヴンスン『宝島』岩波文庫2011年改版、 80円セール、計560円。『間取りの手帖』は贈呈用。
ネットの見聞。
《 納豆は混ぜれば混ぜるほど美味なのはわかっていたが面倒でなかなかかき混ぜ切れるものではない。 何か動機が必要だと思いケージの「4分33秒」のつもりでクロノグラフを腕に巻き厳密に4分33秒混ぜてみた。 たしかに美味さは増したが卵は入れない方がよかった。メレンゲみたいになってしまったので。 》 椹木 野衣
ネットの拾いもの。
《 自民党本部による佐賀県冷遇策を考える
「佐賀を長崎県に吸収合併」
「佐賀空港への米軍基地誘致」
「九州新幹線長崎ルートの佐賀県の駅は不設置」
など大喜利状態(笑) 》
《 マックでタマネギのみじん切りかと思ったら、ダイヤが混入していたら、
訴え出るのと、それとも、黙っているのと、どっちが得だろう? 》
《 「勇者よ、お前は怖くないのか……?なぜ命を賭してまで戦う必要がある……?」
「僕には守りたいものがあるからだ!」
「守りたいもの……?それはなんだ……!?」
「世間体だ!」
「世間体」
「勇者の息子が魔王倒しに行かないってなると、周りの目が冷たくて!」
「同情する」 》