『 日本造形史 』

 水尾比呂志『日本造形史  用と美の意匠』武蔵野大学出版局2002年初版2010年6刷、 前半「第一部 生活の造形」を読んだ。「序」。

《 すなわち、原始から江戸時代末に至るわが国の造形を、「生活」と「宗教」と 「作家」という三つの分野に分ける観点に立ち、そのそれぞれの特質を歴史的変遷を 追って探る、という方法を採った。このような観点と方法とに拠った意図は、およそ 人間の物を造る行為は「用」に発する、という私の根本的な認識に基づく。 》

《 本書の原型は、武蔵野美術大学における講義を基にして、昭和四十五年七月、 筑摩総合大学(全百巻・筑摩書房)の一冊として書き下ろした『日本美術史 用と美の 造形』である。 》

 先だって読んだ唐木順三『日本人の心の歴史』と同じシリーズだ。刊行目録を見て これを読みたいと思っていた。こんなかたちで実現するとは。それも《 最近の知見をも 加えた補訂を行い、 》だ。

《 美術の、藝術としての完全な自立には、なお画家の自覚その他の條件が必要であるが、 日本造形史上の美術の成立の第一段階は、このやまと絵によって達せられたと言えよう。 》  87頁

《 しかし、秀吉の天下統一と家康の幕藩体制の強化という歴史の推移は、自由生新な 町衆文化を次第に逼塞させ、鎖国のなかに閉じ込められた町人文化に変質させて行った のである。近世町衆文化という日本のルネサンスは、十六世紀の爆発的な開花のあと、 ヨーロッパにおけるような近代的展開を遂げずに凋落した。 》 125頁

《 そして、町衆が江戸幕府に完全に屈服して、封建体制に組み込まれてしまう寛文の頃、 十七世紀後半を境として、風俗画は、美人画と衣裳画へと変質し、浮世絵や工藝意匠と なって町人の世界に転生するのである。 》 136頁

《 しかし、金工本来の実用美は、むしろ民衆の雑具により多く保存され、機能と 造形美の密着した金物が無数に製造されている。それらは、他の分野の民衆工藝品と同様に 見過ごされてきた。江戸時代が、工藝の歴史の上でもっとも低調とみなされているのは そのためである。民衆の生活造形は、まことはこの時期に質量ともに頂点に達したのであって、 これらの品を見逃すことは、造形の歴史を歪めて認識することになるであろう。 》  160頁

 若い頃は金属(メタル)にはあまり惹かれなかった。今世紀になって不要処分となった 機械部金(歯車など)に出合い、その油が沁み充分に使い込まれたメタルの魅力に気づいた。 美術のブロンズ像などには相変わらず惹かれないが。

 ネットの見聞。

《 憲法を改正すれば何もかもうまくいくと主張する人たちは、 改正しても結局何もかもうまくいかなかったときに、じゃあ元に戻しましょうとは 言わないだろう。変え方が足りなかったのだというだろう。 》 中野善夫
 https://twitter.com/tolle_et_lege

《 【何を反省するか】アベの戦後70年談話では、歴代内閣の立場を「全体として」 引き継いで「先の大戦への反省」をいうが、「植民地支配と侵略」や「心からのおわび」 はいわない。つまり問題は、何を引き継がず、何をどう反省するか、ということです。  》 金子勝
 https://twitter.com/masaru_kaneko

《 何度でも言うが、米国の軍事介入で平和になった地域はない。その介入を 背後で支えるのが集団的自衛権の行使である。日本国民は目を覚ましてほしい。  》 masanorinaito
 https://twitter.com/masanorinaito

《 「権力」とは、国民が絶えずチェックを続ける必要がある。 放置するとすぐに腐敗するからだ。常温下の生鮮食品と考えるべき。 》 清水 潔
 https://twitter.com/NOSUKE0607

 ネットの拾いもの。

《 しかし、まあ、ザ・プレミアム・モルツ・マスターズドリームてのは 結構なネーミングだよなあ。コンビニで売ってるビールだけど。 早起きしたのに飯が炊けてなかったんで一本空けちまった。 》