『水府 みえないまち』つづき

 大岡信『水府 みえないまち』には「豆州三島」「螢火府(ケイガフ)」「裾野禽獣」「サキの沼津」と地元を 詠んだ詩が続くページがある。「螢火府」は子どものころの三島がテーマ。

《  昼間なら
   四(よん)本の川が野の中央を蛇行してゐた。  》

 西から蓮沼川(宮さんの川)、源兵衛川、御殿川、桜川だろう。もう一本、源兵衛川と御殿川の間の四の宮川は 含まれていないと思う。

《  女郎衆のまちをうたつた唄の愚劣さを
   ことさら愛する人もなかつた。  》

《  四(よん)本のひとつが落ち窪む
   学校裏のドンドンに、水は落ち、水は去り、  》

 水の落ちるところはドンドンと呼ばれている。ドンドンはわが地方の通称なのだろう。この詩の註から。

《  三島は水都なりき。清水は溢るるごとく町の内外を貫き、藻草は緑なす髪のごとく流れに喜戯したり。 オイベッサンはその川の生みし子なれば、蜂の巣の穴さながら、百数十の工場、企業、地下水を奪ひ、 ためにあはれに痩せ衰へたる当節のどぶ泥多き三島の水に、なほ武者自然と棲めるやいなや、わが潜望鏡には 映ることなし。  》

 オイベッサンとはトビゲラの幼虫。この地域の呼び名。この詩が発表された1980年は、源兵衛川最悪の時期。 今、オイベッサンが川底の石に身を隠しているのを、清掃の時によく見かける。川は昔日の面影を取り戻しつつある。 昼前大勢の賑やかな小学生たちが自宅横を通って源兵衛川を下り、上っていった。

《  いつからか一寸(すん)ばかり地べたを離れて歩む宿命
   不安こそ 夢の孵卵器。  》 「魚歌府」

 昨日大岡信の詩は、空中を滑空し、地上ぎりぎりまで超低空飛行をするが、決して墜落しないと思ったが、 上記の詩句を読んで意を強くした。理知的な飛行(作詩)なのだ。以下「調布 VIII  某夫人に呈す」全詩。

《  どんな嫌ひな人間が書いた詩でも
   いい詩を読めば心はよろこぶ。

   ただそれだけのことの中に
   詩の秘密がある。

   とるに足らない秘密だと思ふのだが
   否定できない どうしても。  》

 詩を美術・芸術に置き換えてもいい。ここに大岡信の鑑賞と批評の要諦がある。

《  よしないことを詮索するな、
   見るべきものは限りなく、
   おまへの眼は二つ。
   からだは一つ。
   気まぐれな思ひに耽るな、
   おまへの中に無限があるのに。  》 「加州黙契」

 冷水をぶっかけられたような。退散。

 ネットの見聞。

《  なぜニッポンから「腰巻きビル」は無くならないか 》
 http://togetter.com/li/969263

《 戦後日本で右書きの横文字が左書きに変わった瞬間をさぐってみた 》 gooいまトピ
 http://ima.goo.ne.jp/column/article/3948.html

《 結局地震は放り出して、サミットもあるのにヨーロッパとロシアに行って恥をかいてくるそうです。
  ところで、どうして明らかに無駄と思われるサミット参加国歴訪をメディアは批判しないのかね? 舛添が駄目なら安倍はもっと駄目だろ? 》 位置@ファンタジー馬鹿
 https://twitter.com/ichitawake/status/726810178742444032

《 昔AKIRAを見た時、なぜ五輪を目前に控えた東京が荒廃して若者が非行に走るのかよくわからなかったけど 、今ならよくわかる 》 ビニールタッキー
 https://twitter.com/vinyl_tackey/status/726753462407458816

 ネットの拾いもの。

《 猫駅長と猫組長では社会的信用度に天と地の差がある。 》

《 継表紙って入力したら、次病死って変換された。もういやだ帰る。 》