『詩人の設計図』

 大岡信『詩人の設計図』書肆ユリイカ1958年を、『大岡信著作集 第四巻』青土社1977年初版で読了。
《 無限の動勢の実現でありつつ、同時にイメージに的確な輪郭を賦与する線、奔出する想像力そのものをあたかも可視的にすると同時に、その奔出を 見事に食いとめている線、抽象的でしかもファンタスティックである線、こうした線の性質はクレーのような」気質の画家にとっては、特に重要なな意味を 持っていた。 》 「パウル・クレー

《 巨匠の一本の線は、それが線であるという以外に何の外的制約をも受けないが故に、かえってその線を支え、その線に集中している巨大なマッスを表現する。 そしてまた、線は時間を象徴する。 》 「パウル・クレー

《 クレーにとって、ものの形とはどこにあったか。形は運動の中にしかなかった。 》「パウル・クレー

 線の絶大な魅力。質感、配色の妙もいいが、今は線。安藤信哉、上條陽子ら画家の線、北一明の書の線はすごい。私が線の深く豊かな魅力に気づいたのは かなり後。大岡信は早熟も早熟だ。線の魅力を説明しても私の言葉は足りず、相手は洞察力が不足。線の魅力は伝わらない。わかる人と共感するのみ。
 続く「シュペルヴィエル論」「シュルレアリスム ひとつの視点」「自働記述の諸相 困難な自由」は、これまた縦横無尽の論述で、はは〜と平伏。だけど、 シュペルヴィエルの詩もシュルレアリスムの自働記述もまともに当っていない身には、正鵠を射ていると直感するのみ。詩を読んでから改めて読みたい。これで 『詩人の設計図』を読了。名著では。

 きょうは休養日。午後ブックオフ三島徳倉店へ自転車を走らせる。途中の銀杏並木には銀杏が鈴なり。早落ちている実も。森茉莉『贅沢貧乏のお洒落帖』 ちくま文庫2016年初版、日本推理作家協会編『名探偵に訊け』光文社文庫2013年初版、計216円。
 午後四時半近くお天気雨。隣の沼津市では土砂降りとか。ごく狭い地域に雨。あ、これをゲリラ豪雨というのかな。

 ネット、いろいろ。

《 「中動態」と「当事者研究」がアイデンティティを更新する理由  國分功一郎×熊谷晋一郎 》 WIRED
 https://wired.jp/2017/08/31/wrd-idntty-kokubun-kumagaya/

《 安倍官邸が東京新聞と望月記者に不当抗議! 菅官房長官への厳しい質問封じを狙い撃ちした卑劣な言論弾圧を許すな 》 LITERA
 http://lite-ra.com/2017/09/post-3428.html

《 頻用される「回答を控えたい」という定型句の意味は「その質問は、それに正しく答えると私が失職し、きびしい社会的制裁を受ける可能性が高い質問です」 ということに確定したので、どこかの国語辞典に採用してください。 》 内田樹
 https://twitter.com/levinassien/status/903789897433145344

《 「これゼロックスしておいて」と言うオジサンを「古いな」と思っていた俺は「写メ撮っておいて」と言ってしまうオジサンになった。 》 企画屋(臣民)
 https://twitter.com/team185/status/903183924641251328

《 高須、石原、麻生といい日本の右は無駄に蜂の巣をつついて自分のたくましさを誇るやっかいなやつらだよな 》